小説
□守りたいモノ
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彼女は春の陽だまりみたい。一緒に居ると温かいの。まるで碇くんと居るみたいにぽかぽかする。はじめてできたトモダチ。
彼女を守りたい。
それが私の絆だから。
「綾波おはよ!」
「おはよう」
「今日は寒いね」
「そうね」
「綾波の手冷たい…」
両手を包まれる。彼女の手は温かい。生きてる事を実感させる手―伝わる温もり、私は生きている。そう生きて―
「…み?綾波!聞いてた?」
「…ごめんなさい」
「そんな謝ることないって」
ふと我に返ると彼女の笑顔。優しい笑顔。そんな彼女を守りたいの。例え私が私じゃなくなったとしても、私の代わりはいるから。だけど、それは少し淋しい少し悲しい。前はそんなこと思わなかった。それは彼女のおかげ?彼女のせい?私は消えたくないのかもしれない。それでも、カラッポだった私の世界に彩をくれた彼女を守りたい。