小説
□夜を歩く
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部活の帰り道―ぽつぽつと話をしながら夜を歩く。吐く息は冷たいけれど、繋いだ手はとても温かい。
「部活お疲れ様」
「ああ」
「頑張ってるね」
「ああ」
一方的に喋る私に影山は素っ気ない相槌をくれる。影山は何気なく優しい。その何気ない優しさが私は好きだ。
「寒いね…」
「冬だからな」
「私のこと好き?」
「な、ば、ばっかやろ…好きじゃなかったら付き合ってねーよ」
ちょっとした意地悪のつもりで聞いてみる。影山は照れながらも、真剣に応えてくれた。
「私も影山のこと好き」
「ったりめーだばか名無子」
「うん」
ぎゅっと手を握り合って、夜を歩く。空には月が浮かんでいて私たちを見下ろしていた。
(よっ!見たぜバカップル)
((田中先輩!?))
―夜を歩く。