小説2

□雨
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雨は私を悲しくさせた。傘の柄を握りしめる。雨はあなたを遠ざける―あなたが此処に来ない気がして、とても悲しくなるのだ。

「はぁ…」

陰鬱な気持ちに溜め息を吐くも、雨の音に吸い込まれてしまった。空を見上げれば止めどない雨粒。止む気配なんて見せない。

「早く来いばか」

ひとりごちる。ぴちゃぴちゃり、後ろから水を跳ねる足音がしたかと思うと目を塞がれた。

「誰がばかですか」
「あ……」

目を塞ぐ両手を解いて、後ろを振り向くとそこには最愛の彼の姿がある。

「会いたかった!バーナビー」
「まったく大げさな人だ」
「だってだってね」
「詳細は車で聞きますよ。さ、行きますよナムコ」

くすくすとバーナビーは笑って私の手を引いた。

(車まで相合い傘しよっか)
(いえ、遠慮します)
(あー、照れてるんだ)
(て、照れてなんかっ…)

―雨


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