小説2

□3月9日
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赤い実は私の中でとっくに弾けていた。あなたを思うと苦しくて卒業式で区切りを着けようと決めた。

「か、かげか、影山く…」

手紙を書いて受け取ってくれるだけで満足だったのに、まさか来てくれるなんて…私は恥ずかしさと混乱でどもってしまった。

「何か用かよ」
「あ、のね、」

私たちの間にひとつ風が吹いた。言わなくちゃ。どんな結果にあれ区切りをつけないと。息を吸い込んで吐いて…。

「あなたが、好きでした」

まともに顔が見れなくて、ずっと下を向いていた。彼は何も言ってくれなくて私は困ってしまう。

「そ、それじゃあ…」
「まて」

沈黙に耐えられず、走り去ろうとしたら腕を捕まれた。再び沈黙。

「言い逃げかよ。しかも、でしたとか過去形」
「だ、だって、影山くん何も言ってくれないし…」
「せめて俺の気持ち聞いてから逃げろ、捕まえるから」

意図の掴めない発言に影山くんを見上げるとそこにはばつの悪そうな顔した彼がいた。

「あの、それって…」
「だから、言わずともわかれ!」
「…訂正する、影山くんが好きです」
「俺も名無しのこと好きだ……」

改めて気持ちを伝えると、影山くんの頬がほのか赤くなった。

(ありがとう影山くん)
(飛雄でいい名無子)
(と、飛雄くん…)


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