小説2

□蜂蜜缶詰
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君は誰にでも優しくて人気者で、醜く弱い僕はそんな君を見ていられなくて、君を閉じ込めた。

「どうしてこんなことするの?」
「愛してるからだよ」

君はさめざめ泣いている。その泣き顔ですら愛しくて僕は触れるだけのキスをした。君の唇は甘い味がした。例えるならば、蜂蜜のようだ。

「好きだよナムコ」
「私は嫌いだわ」

なおも君は泣く。拒絶の言葉でさえ今は心地がよかった。君の声が聞けるならば蔑まれても構わない。それほどに僕は君が好きだから。君さえいれば僕は何も望まない。

甘い甘い君を
閉じ込める
蓋を閉めれば
蜂蜜缶詰の
出来上がり。

―蜂蜜缶詰


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