Truth isn't always correct.

□Truth isn't always correct.
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むかしむかし、イタリアと言う国に双子の女の子がいました。
姉のシイナはおとなしい子。走るのと食べるの以外に動こうとはしない子でした。
お母さんに良く似ていて、茶色の髪と茶色の目をもっていました。
本当は目が青かったりするのですが、これは別の機会に。
妹のフィディオは活発な子。近所の男の子と良く混ざって遊んでいました。
お父さんに良く似ていて、茶色の髪と青い目をもっていました。
双子のお母さんは病弱で、双子が生まれた時に死んでしまいました。
双子のお父さんはサッカー選手。イタリアで一番強い人でした。
これは、この普通の家に、とある人が来てからのお話です。

ある日、お父さんがなかなか帰ってこなかったり、お母さんがいないだけで、他の家と同じ普通の双子の家に、とある女の人がやってきました。
この人が来てから、この普通の家族は少しずつ壊れていったのです。

この日、フィディオはサッカーの試合で出かけていました。
フィディオはイタリアでも有名な少年サッカーのチーム、「オルフェウス」のひとりだったのです。
この日はいつも外に出たがらないシイナも、人数がどうしても足りないと言うことで、フィディオについて行きました。

試合の結果は2対1.1点差でオルフェウスの勝ちでした。
さっそくお母さんとお父さんに教えようと思って家に帰ってきたときのことです。
家に帰って戸を開けると、そこはいつもの家ではありませんでした。
シイナがいつも使っている靴、服、コップ、タンス、ベッドなど、シイナが使っている者だけが壊されていたのです。
フィディオはいつもお父さんから有名になるとこういうこともあると聞かされていました。
自分の物が壊されても大丈夫だと思っていました。
でも今回は違ったのです。
自分でも、お父さんの物でもなく、何も関係ないシイナの物だけが壊されていたのです。
シイナを知ってる人なんて、オルフェウスのメンバーと親戚の一部の人ぐらいです。
フィディオはとっても不思議でした。
「やっと帰ってきたの?お母さんお料理作って待っ……シイナ。貴方は入ってこないで。貴方がここに居るってだけで吐き気がするわ。」
お母さんと名乗る女の人は、シイナを見るなり態度が変わりました。
でも、人の言うことをほぼ必ずスルーするのがシイナです。
そのまま黙々と壊された自分の物を拾って、空き部屋に閉じこもってしまいました。
それを確認するなり、女の人は言いました。
「フィディオちゃん、優勝したんですって?凄いわねえ、御馳走作ったの。早く食べましょ♡」
テーブルも、シイナがいつも使っていたところだけきれいに切り取られていました。
この日食べた料理は多分美味しいんだろうけど、何も味はしませんでした。
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