Truth isn't always correct.

□Truth isn't always correct. R.M.
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低能力、LEVEL1、心理系。

そんな文字がおどっている紙を渡されたのは、平成××年、㐧××回能力測定だかなんだかの後。
俺が八歳の時だった。



家に帰って、さっそく皆に伝えたら、やっとなったのか、とか、よかったね、とかいろんなことを言ってくれた。
シイナは、少し悲しいような、寂しいようなそんな顔をしてたけど、『やっぱり俺が開発しただけのことはあるな』、とほめてくれた。


それから半年たつころに、俺は強能力者になって、一年たつころには大能力者となっていた。
……なんて軽く語ってみるけど、実際はそんなに楽じゃなかった。
一年なんて時間は短すぎて、そんな中で自分の能力の制御なんて出来るわけなくて。
何を考えてても考えてなくても、何十人、何百人の考えてることが一気になだれ込んでくる。
表裏がありすぎる人、なさすぎる人。いろんな人がいて、頭の中がごちゃごちゃになる。



「具合悪ぃ……」
と紫音に訴えたら寝てなさい、と言われたんで寝ていた。
壁にかかっている時計は10と4をさしている。
学校は休んでいいのか。
不意にぐり、と頭を踏まれて頭が動かせなくなる。
視線だけ動かして上を見ると、シイナがいた。スカートの中は見えそうで見えない。……いや、期待はしてないけど。
そういや学校行ってないんだっけ。受け入れてくれる学校が無かっただかなんだか。
「みどちゃん何やってんの?」
シイナは一回俺の頭から足をどけて、学校によくあるような木製の椅子を引っ張ってきて座ってから、また俺の頭の上に足を置いた。
それから、某棒菓子(コーンポタージュ味)にかぶりつく。
「頭の中ぐちゃぐちゃしてて気持ち悪い」
絶賛吐き気をこらえ中だったりする。

シイナはそこで動きを止めて(足はどけてくれなかったけど)三秒ほど黙る。
「ああ、そういやみどちゃん心理系だっけ。そりゃサイコメトリーずっとやってりゃ具合も悪くなるか。俺にゃわかんね―けど」
シイナはまた話すのを止めて、某棒菓子を食べきって、ご丁寧に袋を縛ってゴミ箱に向けて投げる。……あ、入った。
「他の人が考えてること全部わかるんだもんな……そりゃ具合も悪くなるか……」
ポケットから某棒菓子(テリヤキバーガー味)を出して、一口食べる。
「んー、分かんねえな、そういうの」
「分かんないって? ……ああ、シイナは超能力者だもんな、そりゃ……」
「違うよ。……違ぇよ、みどちゃん」
あの、俺が能力者になった、と教えたときと同じ、少し悲しそうな顔。
「……シイナ?」
「嘘だけどね?」
紫音、ポッキーあるー? あるけど太るよー? なんてやり取りの後、ポッキーをまとめて二、三本まとめてポリポリと食べだす。
「まあわかんねー、ってのは事実だとして、……嘘だけど」
「……どっちなの?」
「どっちか、だよ。っつかそれはどうでもいいんだけど」
残りの三本を口にくわえたままポッキーが入っていた袋を縛って、隣に置く。速いな、食べるの。
「うし。じゃあ一時的に''それ’’は預かっといてやる。そのあいだにリミッタ―でもつくっとくな」
「……''それ’’って?」
これだよ、と頭に置いてあった足をどけて、何かと思えばかかとでおでこを軽く蹴られ(?)た。
「んじゃあ」
トッ、トッ、トッ、と音を立ててシイナはどこかに走って行った。
俺はと言うと、まあ、この通り頭はあいかわらずだ。
でも、あの気だるさだとか、吐き気だとか、そういうものは消え去っていた。
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