TOX

□迷子な予防
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「コホっ、ケホケホっ・・・・、」

街に着いて宿屋に向かう途中だった。

「・・・、大丈夫?レイア?」

「風邪・・・ですか・・?」

「ずずっ・・・っ〜そうかも。」

「鼻水に咳・・・、立派な風邪だな。」

「レイアのためにも早く宿へ行こうか。」

「そうですね、そこなら休めますし。」

「ぅぅ〜〜、みんなごめん・・・・ずびっ・・・。」













結局、宿に着いた途端にレイアは倒れてしまった。
レイアを部屋に運んで医者に診てもらった。
レイアがしんどそうだったので看病をエリーゼに任せ、残りのメンバーは診察の結果を別室で聞いた。


「・・・、季節外れのインフルエンザですね・・。」

医者はカルテに書き込みながら言った。

「風邪じゃなかったんだね・・・。」

「『いんふるえんざ』とはなんだ?」

「風邪の威力が強いやつだよ。」

「ああ、なるほど。目がうるうるになったりして誘惑するような状態になるやつのすごいやつだな。」

「それ、なんか間違ってないか・・・?」

アルヴィンの答えに納得気味のミラ。
男と女のマンネリ解消、という本に書いてあったとミラは力説中だ。
一体、どんな本を読んでるんだか・・・・・。

話がそれた。
医者が話を続ける。

「レイアさんはまだ軽い方ですね、最近流行ってるんですよ。」

「そうなんですか?時期としては早いですよね。」

「霊勢が乱れているからかもしれませんね・・・・。」

「寒くなったり暑くなったりするから・・・。」

「予防も間に合わず、ワクチンも残ってしまいました。」

「本当ですか?」

ローエンがいきなりずいっと体を乗り出してきた。
医者もびっくりしている。

「あ・・・、はい・・・。」

「よろしければ譲っていただけませんか?」

「ああ、いいですよ。使用期間が今日までなんで余っても困りますし・・・・。」

医者はカバンから五本の注射器を取り出した。

「ワクチンは中に入ってますよ。」

鐘が鳴った。

「あ、すみません。実は往診の時間が入っていまして・・・。」

「ありがとうございます、先に診ていただいて。」

「いえ、かまいませんよ。では。」

そう言って医者は出ていった。

「おー、やるね〜。じーさん。」

「インフルエンザは腰にもくるのでかかりたくないのですよ・・・。」

「そのせいか・・・。」

「でも、その注射器でどう予防するのだ?」

「ミラ様は知識があるのかないのかたまに分からなくなるな・・・。」

「ジュードさんに打ってもらえばいいのですよ。」

「・・・、え・・・!僕?」

まさか、ジュードに話がまわってくるとは思わなかったのだろうか。
返事が遅れた。

「はい、タリム医学校では実習もかなりあるので、できると思ったのですが・・・。」

「あ、うん。やったことがあるから、できるけど・・・。」

「それならよかった。」
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