TOX

□恋人ステップ
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今、思ったら・・・ちょっと浮かれていたのかもしれない・・・・。





大きな街に着いてパーティーはいったん自由行動となった。
買い出しの当番は僕とアルヴィン。
久しぶりの二人だけでの買い出し。
ちょっとデートっぽいや、とすっごくドキドキしてる。
アルヴィンと恋人同士になってからの初めての買い出し。
アルヴィンはどう思ってるのかな?


「これで最後か?」

「えーと、あの店で最後だよ。」

意外とアルヴィンは買い物上手で、交渉も上手かった。
お店の女の人がぽーってなっててアルヴィンを見ていたのは気になったけど・・・・。

「了解。早く行こうぜ、もうじき暗くなる」

「うん。」

さりげなく重い方を持ってくれたことにちょっとときめいて。
歩幅を合わせて少しゆっくりめのスピード。
優しくて・・・・、本当に恋人同士になったんだと実感して・・・・・。
どうしよう、僕どきどきしっぱなしだ・・・・。

カラン、

この町の装飾品屋は酒場と一緒になっている。
夕方のため、人が多い。

「ピヨノンとストーンチェックと・・・・、」

アルヴィンは荷物を持っているから外にいる。
あんまり待たせないようにしないと・・・・。

「はい、毎度。注文の品だよ。」

代金を支払い、商品を受け取る。
お店の人が在庫を確認したために少し時間がかかってしまった。
お店の窓からは暗闇がもれる。
酒場からは騒ぎ声、笑い声、注文の声。活気だってきた。

カラン、
お店を出てアルヴィンを探す。
そこらにいるって言ってたし・・・・。
辺りを見回してみると、見知ったコートに茶色の髪の長身。

「ある・・・」

アルヴィンを呼ぼうとしたら気づいてしまった。
アルヴィンの前には女の人。
しかも、胸の大きな金髪美人。

誰、なんだろう・・・?

ここにいてもどうしようもないけれど、近寄りがたい雰囲気で。
女の人がアルヴィンの腕をとる。

え・・・、ちょっと待って・・・・。

「ね、アル。私たち付き合ってみない?」

女の人の声が聞こえた。
いつの間にそんなことになってるの・・・?
僕、買い出ししてただけなのに・・・・・。

「へぇ、いい女に育ったじゃねぇか。」

答えるアルヴィン。
まさかの内容・・・・。

「でしょ、だから今晩どう?」

ウソ、このまま行っちゃうの?
なんだかむかむかしてきた。
女の人にもだけど、アルヴィンに。
アルヴィンが僕を誘ったクセに。
女の人がやっぱりいいんだ!!!

早足で二人へ向かって、

「わりぃけ「アルヴィン、それ貸して!!」

アルヴィンの持っていた分をひったくる。
ちょっと重い。だけど。

「!!ジュード?」

「僕、先に帰ってるから!!!」

そう言って僕は走り出す。

「おい、ジュード!!」

アルヴィンの声が聞こえるような気がするけれど、さらにスピードを上げた。
今、顔見られたくない。
それにきっと、アルヴィンは女の人と過ごす。
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