劇場版

□地獄篇
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俺が朱蓮と戦っていた間に、コクトーはあの三人を道連れにして溶岩の池に沈んでいった。

一護「いつまでもてめぇに関わってる暇はねぇんだ!“月牙天衝”ッ!!」

逃げた朱蓮に向かってもう一度月牙を放とうとして、気付いた。
あいつが避ければ、沙亞埜と遊子がいる檻に当たっちまう・・・・!
一瞬の逡巡の隙を衝き、朱蓮が炎を放ってきた。
檻に気を取られていた俺は避けられず、まともに炎を食らった。

朱蓮「どうした、致命傷は与えていないぞ!さぁ、門を壊せ!!」

俺は仮面を出して、朱蓮に近距離で月牙を放った。
俺はホロウ化を解いて、二人のいる檻に向かった。

一護「沙亞埜、遊子・・・今助けてやるからな!」

何歩目かを踏み出したとき、突然衝撃が走った。
黒い刀が、俺に突き刺さっていた。

コクトー「大丈夫か?一護」

現れたコクトーが無造作に刀を抜いた。

一護「裏切った・・・のか・・・?」

コクトー「誰も裏切っちゃいないさ。全部俺一人で計画したことだ。
さぁ、一護。ホロウ化して俺の力になってくれ!約束したろ?」

その時、みんなが追いついてきた。
来るな、と言ったが、みんなには聞こえていなかった。
次の瞬間には駆け寄ってきたみんなはコクトーによって切り伏せられていた。
俺は何とか立ち上がり、刀を持ち上げた。
だがそこにコクトーはいなかった。

一護「どこだ・・・!?」

コクトー「ここだ!」

いつの間に移動したのか、骸骨の上にコクトーを見つけた。
その腕に、ぐったりと脱力した沙亞埜と遊子を抱えている。

コクトー「妹の方は護られてて無事みてぇだが・・・沙亞埜ってやつのほうはそうはいかなかったみてぇだな。
・・・ほら、鎖が見えるか?」

コクトーは俺に見えるように沙亞埜の体を高く掲げた。
意識は無くとも遊子を護るようにしっかりと抱きしめている細い手足から伸びた、赤錆色の鎖が見えた。

   『一護!』
  呼ぶ声。暖かな笑顔。
  もう、聞こえない。もう、見れない。

一護「う・・・ァ・・・あ・・・あああああああ!!」

様々な感情が渦巻き、やがてそれは一つになった。・・・・怒り。

それから俺は、ウルキオラとの戦いで見せた、完全なホロウ化の状態に陥っていたらしい。
何もわからないままに、とにかく沙亞埜と遊子は取り戻していたらしい。
俺が怒りに任せて放った一撃で地獄の門の亀裂が広がって完全に砕け散った。
だが門を壊せば解放されるのではなく、鎖をちぎらなければ解放されなかったらしい。

恋次「・・・くだらねぇ・・・挑発に・・・乗ってんじゃねぇ!!
解錠!!テメェは現世に帰れ!!」

俺は恋次によって沙亞埜と遊子と一緒に現世に送られていた。
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