捧げ物 / 貰い物

□湯浦様へ!444hit
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「……やぁヒーロー」
「やあ、ランピー!君は寒いからって外に出ないタイプだと思っていたよ。そっか、寒さに強いんだね、雪が降ったら二人で遊ぶかい?」
「いやー、遠慮しとくよディド」

イチちゃんは、っと。
あぁー、やっぱり嫌そうな顔してるねぇ。覇気がない分いつもより迫力ないけど。

「ところでイチくん、だよね?元気がないけどどうかしたのかい?」
「べ、つに」

ヒーローが僕を見てくる。まぁ、しつこく訊かれるのも大変だろーし、

「イチちゃん、カゼひいちゃったー」
「風邪?ならどうして外にいるんだ、悪化してしまうじゃないか!」
「いや、うん。だから今から帰るんだけどね?」

イチちゃん、なんか息まであがってきちゃったし。でもマズイなぁー、ディドが大人しく引いてくれるかな?

「それなら、僕が送ってあげよう!飛んだ方が早い」

……ほぅら、きた。

「いい。かえれる」
「遠慮しなくてもいいんだよ、今日はあまり仕事がなさそうだ」
「してな、い」

頭をふるふる振って、そのせいでふらふらしちゃってるイチちゃん。

「ほら、もう歩くのも大変そうじゃないか」
「たい、へんそうじゃ、ない、」

うーん、公平に判断すれば大変そうかな。でも、ヒーローに運ばれちゃったら大変そうですまないもんねぇ。
てゆーか人がいないからいいけどさ、傍から見たら、ディド、カンペキに誘拐犯人だよ?

意地でも首を縦に振らないイチちゃん。ディドは、――これ本人は親切でやってるからタチ悪いよね!――ともかく、イチちゃんに向かって手を伸ばした。
これはさすがに助けないとヤバイかな?
僕は溜息ついてから、二人に近づこうとしたんだけど、

「ぇ?……あ」

僕よりも先に、
心底嫌そうな顔をしているイチちゃんに迫るヒーローの手を、がっ、とやけに硬い音をたてて何かが遮った。

それは見知った白杖で――

「イチに手を出さないでいただけませんか?スプレンディド」


――今日は絶対外出てこないと思ってたんだけどなぁ。



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