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□元拍手十一月
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【PM 6:10】



「いえぇーぃ、もーる先生っ、ハッピーぽっきげー……」

保健室戸口付近にて。
御馴染みの赤いパッケージを右手に、ランピーが剣の如く突き出した一本のポッキーは躊躇のない手刀によって真っ二つに裁断されはじけ飛ぶ。

「む、……いや、やるとは思ってたけどホント容赦ないねっ!?」
「巫山戯るのも好い加減にしてくれませんか……次は身体中の穴という穴からポッキー突き刺しますのでそのつもりで」
「ひっ、どい!ってゆーかエグい!!怖い!!」
「ならしなきゃいいだろう」

準チョコレート菓子を粉砕せしめた当人、つまり保険医のモールは溜息まじりに言い放つ。因みにここまで自らのデスクに座ったまま立ち上がりすらせず、理事長や一般生徒には決して見せることの無い面倒臭そうな顔を晒している。
一方、冗談のようでその実冗談で済ましてはいけない脅しを掛けられたランピーも、大げさな身振りで慄いておきながら部屋を出て行く気配は微塵もない。

「えぇええ、だってさぁ、さっきさぁー」
「保健室は貴方の暇潰し場所ではありません」
「教室のぞいてみたら女の子たちがさぁー」
「聞いていますか」
「すっっごい楽しそうにポッキー食べててね?も、なんかキマシタワー!みたいなっ!」
「……菓子類は没収では?」
「いいじゃない、どーせみんな黙認でしょ?」
「まぁ、そうですね」
「で、その青い春の1ページ見てたらなぁんかさびしくなってきちゃったからモール一緒にポッキー食べない?」
「とりあえず黙るか死んでください」
「ええっ、ひどいっ!!」
「……そもそもチョコ菓子なら先程食べたばかりなので要りません」
「そぉ?じゃ、呑み行こうよぅ。てゆーか珍しいね?モールが間食?」
「イチに貰ったんですよ」
「えっ、なに?モールってばイチちゃんとポッキーゲーム済……あっごめんなさい謝るからピンセット構えないでっ!」
「そんな事で職を失う気はありません」
「やらない理由が現実的過ぎて夢がないね!?」



(んん?イチちゃんが市販のおかし持ってるのも珍しくない?)
(……記録は2メートルだそうです)
(……え、何の話!?)



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