長編
□零
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水中を漂うような小気味の良い浮遊感。
返って居心地悪く、抜け出そうと踠けばそれはやがて断続的に遠ざかっていく。
引き際に頭の中を覗かれる感覚。
掌から擦り抜けるように消えていく記憶
脳裏に焼け付くように刻み込まれる記憶
その二つが混在し、あるべき場所へと収まっていくのが自分でもよくわかった。
煙のように頼りないそれらの最後の一握りをどうしても手放したくは無くて、
──全てをかけて握り締めたとき、少女の中で何かが弾けた。
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