ダリア 1

□ダリア〜another story〜
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『お待たせしましたー。』

「…フフフ♪そんなに待ってないよ。」

『なんで笑うんですかぁ↓↓』

「まりあが可愛かったからだよ!!」

『もぅ、からかわないでください…』


これは俺の本心だ。別にからかってるつもりはないんだけどなぁ…

「じゃあ行こうか。」

俺は昨日、やっと歩けるようになった。
もちろんまだぎこちなくて、まりあにもいっぱい迷惑かけるだろう。
だけど、俺の手術の成功率は凄く低くて。
もしかしたらテニスどころかもうみんなにも会えなくなるかもしれない。
そう思うと最後の日は好きな人と一緒にいたいなぁって……。


今日だけ甘えさせて…。



『私、美術館って初めて…』

「そーなの!!じゃあ楽しむといいよ。」

『うん。あっ、私この絵が好き☆』


まりあが指した絵、それはルノワールの絵だった。
俺が一番好きな画家の作品。


「奇遇だね。俺が好きな絵もそれなんだ。」

『そうなんですかぁ?一緒ですね。』

「そーだね。」

『気が合いますねぇ♪♪』



それから俺らは美術館を回った。
ここの美術館はかなり広くて回り終わるのに時間がかかった。
だけど、それももう終わりだ。
ここを出るとバイバイしなくちゃいけない。
まりあ出口に走り出した。
俺はまだうまく歩けないからゆっくりゆっくりまりあの後を追う。
そんな俺に気がついてまりあは戻ってきて俺の手をとって歩き出した。


「まりあって積極的だね((クスッ」

『なんでですかぁ?』


俺はまりあの耳元で小さく囁く。

「…手☆」


それで気づいたのか顔を真っ赤に染めて手を離す。


『スイマセン。』

「なんでぇ?そのままで良かったのに。」

『だって付き合ってるって誤解されちゃいますよ!?』

「…俺は構わないけど?」

『えっっ!!!!』


それはね。君の事が好きだからだよ。


「まりあの手気持ちいから♪」

『そんなことないです。』


俺の気持ちを君に伝えるわけにはいかない
理由…それは、手術が成功してから、君に迷惑をかけなくなってから告白したいから


『幸村くん。今日は楽しかったです☆ありがとうございました♪』


君が不意に微笑む。髪をかきあげる仕草にドキッとした。


「こちらこそ楽しかったよ。俺が手術に成功したらまた来ようね」

その瞬間、君の表情がいきなり曇った。


『………はい。』
まりあのそんな顔みたら俺まで切なくなって
きた。


「…俺。手術頑張るよ。」

『……うん。。』

「じゃあ。」


そういって歩き出した。


『待って!!!』


君は俺の手を引っ張り、俺は振り替える。


「…まりあ?どーしたの。」




俺は優しく君の頭に手をのせた。




『もっと一緒にいてもいい?』


「いいよ。俺ももっと君と一緒にいたい」




『ありがとう…。』
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