黒バス

□カコとミライの調和
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「えっ、ヒント?」
『はい。』
「自分自身で答え見つけるんでしょ?」
『はい。』

ここまでの話を聞いてみんな疑問に思っていた。
いきなりヒントと言われたら、誰でもそうなるものだろうか…。

『ヒントと言っても、訳の分からないものだったんです。』
「訳の分からない?」




“ヒント…ですか…”

その人は聞き返しました。
ですが、男子生徒は続けました。

“さっきも言ったが、君のバスケスタイルは今のままだと無意味に終わる”
“ならそれを、無意味にしなければいい”

その言葉を聞くと、その人は目を見開きました。
希望が……見えたんだと思います。

“……分かりました。見つかったらあなたの元に伝えに行きます”
“あぁ、待ってるよ”

そう言うと、男子生徒は帰っていきました。
その人は、しばらく手に持っているボールを見つめていました。


それから数週間、その人は考えました。
もちろん、部活後の練習を欠かすことなく。

“それで、見つかったか”
“いいえ、全くです”

その人は男の子にあの日の事を話しました。

“アレだ、アレ”

突然、男の子が言いました。

“アレって何ですか”

アレと言われても、その人がわかるはず有りません。

“あー、だから…。パスが曲がるとか…ちょーすげぇ威力のパスとかできたら凄くね”
“……あなたは、バカですか”
“なっ!?”
“だって、そうでしょ。パスが曲がったり、威力が増したり…。そんな超能力みたいな……”
“おい、どーした”

そこまで言うと、その人は黙ってしまいました。
不思議に思った男の子は、その人の顔を覗き込みながら呼びかけました。
男の子が見た顔は、何かを考える真剣な顔でした。
その日から、何かを探るような感じに練習をしていました。
ある日の部活前の時間、その人は男子生徒を訪ねるため第一体育館に行きました。
その人が来たことに気付いた男子生徒は、言いました。

“よく来たね。答えは見つかったか”

その言葉に、一回目を閉じ深呼吸とともに気持ちを落ち着かせてから、目を開けその人は言いました。

“はい―――”

その返事は、今まで聞いたこともなかったくらいに力強いものでした。
それからその人は、自分で導き出した答えを男子生徒に伝え、ある条件のもとでその人がいる3軍と、3軍の人が目指している2軍との合同練習で試合をしました。




『そこで初めて、その人は自分のバスケ部での居場所を見つけることが出来ました。』
「……。」

七海はそこで話すのを止めた。

「何かそいつ…、スゲェ努力してんのに…。」
「あぁ。」
「でも、俺もあったよ?やり方が違ってたこと。」
「伊月…。」

七海の話を聞いて、昔の自分を思い出した伊月が言った。
皆の視線が伊月に向く。

「いくらやっても、全然ダメ。何が違うのかわからなくて……、だけど少し見方を変えてみたんだ。そしたら、今までとは違う何かが見えてきた。……そいつも、そうなんじゃないかな?」
「なるほどな……。」

少しの間、皆は昔を思い出していた。

『……。』

それは、七海も同じだった。
それから少ししてから七海はまた話し出した。
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