黒バス

□カコとミライの調和
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今まで黙っていた七海が、静かに口を開いた。

『私の通っていた“帝光中学校”という中学校は、バスケットボールで超強豪校と言われている学校です。』



帝光中学校――――。
部員数は100人を超え、全中では3連覇を成し遂げるという凄い実績を持つ中学校。
今、高校バスケで活躍しているほとんどの人が帝光中のバスケ部OBです。
そして、10年に1人の天才が私たちの代では、5人居ました。
彼らは、一人一人が強かった。
だから、そんな5人を人々はーーーー、


“キセキの世代”


そう呼ぶようになりました。
1人は身長をいかしたプレー、1人は正確なコントロールでのシュート、1人は見ただけで同じプレーを倍返し、1人はストバスで鍛えた型に嵌らないプレー。
そして、最後の1人は。



「えっ?」
「ウソだろ…?」

七海が言った言葉に、みんな目を見開いた。

『ウソでは、ありません。本当です。』
「それが、本当だとしたら……。」

・・・・。

「「「「「怖ッ!!!」」」」」
「遅ッ!!」
『普通の反応ですよ?火神君。』

確かに、想像すればそのぐらいの間は開くと思う。
火神以外は、顔を青くさせて言った。
一方の火神は、みんなの反応が遅いことに顔を青くして言った。
七海は、そんな火神にツッコんだ。

『……話…戻していいですか?』
「えっ?あぁ、うん。」



この5人のいる私たちの代は、3連覇は当たり前の帝光の歴史に“無敗”と言う言葉を足しました。
そんな彼らが唯一認め仲間にした選手がいました。
帝光には、1軍から3軍までありその人は、入学してからずっと3軍にいました。
どれだけ努力しても、2軍には上がれず顧問からも辞めたほうがいいと言われていました。
その事を、一緒に練習していた男の子に言いました。
そしたら、その男の子に怒られました。

“お前は、そんな簡単に大好きな事辞められんのか”
“お前の覚悟は、決意はそんなもんだったのかよ”

そう言われた時、自分の中の何かが切れたんだと思います。
その人は男の子に向かって言いました。
男の子にとってそれは言ってはいけないことを言ってしまいました。

“あなたに、何がわかるんですか”
“何でも手に入れてきたようなあなたに、自分の気持ちが解るはずない”
“何をしても、もうダメなんだ”

そう言うと、その人の左頬に痛みが走り、パンッという音が体育館中に響きました。
唖然としたその人は、目の前の男の子をただ見つめることしかできませんでした。
そんなこと気にもせず、男の子はその人に言いました。

“確かに、お前の気持ちは解らない”
“けど、お前の努力は俺が一番知ってる”
“諦めずに、ここまで練習してきたじゃねぇか”

そう言われ、その人は気づきました。
自分の限界を、勝手に決めつけていたことに。
諦めずにやっていたのに、諦めようとしていたことに。
少しの沈黙が流れた時、2人とは全く別の声がしました。
2人は声のした方を向くとそこには、3人の男子生徒が立っていました。
いきなりのことだったので、その人も男の子も声が出ませんでした。
そんなのはお構いなしに、3人の中の1人が男の子に話しかけました。
どうやらその男子生徒は、男の子と一緒にいるその人が気になったようで、男の子と後の2人に帰るように言うと、その人に近づいてきました。
2人は言われてすぐに、帰って行きましたが男の子は渋っていました。
そんな男の子を見て、その人は帰っても大丈夫だということを伝えると、男の子は渋々帰って行きました。
3人が帰ると、男子生徒がその人に話しかけました。

“君は、おもしろい雰囲気を持っているね”
“君のバスケスタイルは、今のままではいくら頑張ろうと、無意味に終わる”

男子生徒はそうその人に言うと、近くにあったバスケットボールを手に取ると、その人にパスをしました。
訳の分からないままボールをキャッチしたその人は、男子生徒をジッと見つめました。
その人の視線を気にすることなく、話し続けました。

“今から言うことは、、君が君自身で答えを導くこと”
“その答えが解った時、第一体育館においで”

そこまで聞くと、その人は言いました。

“見つかりますか”
“答え、見つかると思いますか”

男子生徒は、少し黙りました。
ですが、またすぐに口を開いて言いました。

“見つけられるのも、見つけられないのも君次第さ”
“自分自身の価値に気付けたら、君は上に来れる”
“ただ、少々無謀なんでね”
“少し、ヒントをあげるよ”
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