黒バス

□カコとミライの調和
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七海の話を聞いて、黙る部員たち。
だが、長い沈黙に耐えられない男がこに場に居た。

「つか、いつまで黙ってんっすか……?」
「…。」

皆、火神を見た。

「【幻の6人目(シックスマン)】がどうしたってんだ。こいつはもうその中学の奴じゃなくて、俺達誠凛バスケ部の部員だろ?だったら、うじうじ考えないでこれからのこと考えたらどうなんだ………っすか…?」
『……火神君。』
「あぁ?」
『…よくそんな恥ずかしいセリフさらっと言えますね。』
「うるせぇよ!!!」

このやり取りで沈んでいた空気が一気に明るくなった。
火神の天然さ故なのかはさておき……。

「それで?今朝は何があったの?」
『あっ…。』

和やかムードになったところで、相田が切り出した。

『……キセキのメンバーとは…、中3のときの全中直後にいざこざがありました。それがきっかけで、今もギクシャクしてます。』
「…今朝…誰かに会ったのか?」
『っ…。』

日向の言葉に、七海は肩をビクつかせた。
そう…。
中学のことは話したが本題をまだ話していなかった。

『………今朝……、黄瀬君に会いました…。』
「黄瀬…。」
『…彼は、私と話をしようとしてくれました。ですが、私……。』

そこまで言うと七海は俯いてしまった。

「…逃げてきたのね…?」
『……。』

相田の問いに俯いたまま小さく頷いた。
そんな七海を気にしつつ他の部員は話し始めた。
七海は今朝のことを思い出していた。


『……七海っち……。』

『少しでいいんス、話し…しないっスか?』

『七海っち!!待って下さいっス!!』

『あっ!!七海っち!!』

『(黄瀬君は私のこと、怒っていないのでしょうか……。とても、苦しそうな顔をしていました。)』
「……。」

思い出している七海の顔はとても苦しそうで、そんな七海を他の部員の話を聞きながら火神は見つめていた。

「まぁ、とにかく。七海とキセキの世代の間には、複雑な事情があるのは解ったわ。」

相田が七海を見ながら言った。

「けど、さっき火神君が言った通り、あなたはもう帝光の生徒じゃないのよ?私たちと同じ誠凛の生徒で、男子バスケ部の一員。そして、火神君と並んでうちの期待の新人なんだから!!胸張りなさい!!分かった?」
『…はい…。』
「じゃあ、この話は終わりね!!」

相田の言葉で今までの緊張していた空気がなくなった。
「そうそう」と相田が何かを思い出したのか、嬉しそうな顔でこう言った。

「明日、ちょうど土曜じゃない?だから練習試合組んじゃった!!」
「「「「「はぁ!!!??」」」」」

語尾にハートでも付く勢いでウインクをしながら、言い放った。
それに対し七海と木吉を除く部員全員は驚きの声と共に、いっせいに相田の顔を見た。

「おまっ…!!そう言うことは、もっと早く言え!!」
「そうだよ、カントク!!」
「もっと早く言おうよ!!」

木吉・水戸部・土田を除く2年…、まぁ、日向と伊月と小金井は相田に抗議?した。

水戸部は、そんな3人を宥めようとしているのかオロオロしていて、土田は苦笑い。
木吉に関しては……。

「久しぶりの練習試合か!!楽しみだな!日向!!」
「楽しみじゃねぇよ!!!」

いつも通りの笑顔で日向に向かって言っていた。
そんな木吉を見て、そのままの流れで突っ込みを入れる日向。
1年生はと言うと…。

「練習試合か…。」
「何か…緊張すんな…。」
「けど、カントクの前日に言うの止めてもらいたいな…。胃が痛いよ、俺…。」
「ふーん、練習試合ねぇ。いいぜ!!楽しみじゃねぇか!!」
『……嫌な予感しかしないのですが……。』

多少の緊張が見られた。
1年生がそれぞれ思っていることを言っている間に、2年生の話し合いは終了していた。
相田・土田・水戸部以外の2年は何と無く落ち込んでいた。
特に酷いのが、日向である。
まあ、彼の場合は相田と木吉の2人相手だったからだろう。
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