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□神様に逆らう愛をこのまま
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『なーつー兄ー!』

「…耳元で騒がなくても十分聞こえてるぞ、なまえ」

『嘘だ今絶対聞こえてなかったでしょ嘘ついたでしょう』

明らかヘッドフォンつけてるし仕事の書類?みたいなの見てるし私の事なんて一切無視してるくせに!!
可愛い可愛い妹が休日にわざわざ遊びに来てるのに放置って何それ!?

「心の声が筒抜けだぞ」

『"聞こえるように"言ってるもーん』

「そうかよ…」

私より7歳年上のなつ兄はゲーム会社に勤めてるサラリーマン。
普段は家が違うから(なつ兄実家出てるし)会えないし休日だって休ませてあげたいから極力来ない。
でも今日は1日オフだからって言うからせっかく来たのにこの仕打ち…

『はぁ…』

「暇なのか」

『えーそうですよ!どっかの誰かさんが構ってくれないから!』

なつ兄のベッドに転がって、つばきとあずさと戯れるくらいしかする事なんてない。私はなつ兄に会いに来てるのに。

ベッドに寄りかかってるなつ兄のうなじをつつ、となぞるとくすぐったそうに身を捩らせていた。

「おいなまえいい加減に…!」

『何でー?なつ兄のうなじ触るの楽しいよ』

「楽しい楽しくないどうこうじゃねぇだろ」

『ぶーケチー』

とうとう怒られてしまったのでこの際不貞腐れてやる。
なつ兄の部屋の壁にぴったりと引っ付いて、ただただなつ兄を観察する。
…暇だなぁって思ってたけど、案外これも悪くないかな

『なつ兄、あのね』

「あ?」

『…好きだよ』

「………あぁ」

"俺も"って言ってくれないの?兄妹だから?
私の「好き」はお兄ちゃんに対する「好き」じゃないよ?ちゃんと男の人に対する「好き」だよ?

うなじを触っていた右手はいつの間にか布団の上にあって、気がつけば私の目からは涙が溢れていた。

「…なまえ?泣いてる、のか…?」

『泣いてない。…なつ兄の馬鹿』

書類を置いて、私に手を差し伸べてくる。こんな風に構ってほしい訳じゃないのに。泣きたい訳じゃないのに。

「おいなまえ…」

『馬鹿馬鹿馬鹿!ばーか…』

「……悪かった。…俺も好きだよ、お前の事」

困らせたい訳じゃ、ないのに。

『ほんと?』

差し伸べられた手は私の後頭部を抑えていて。
今から何をされるかなんて一目瞭然なのに不安で。

「…あぁ。」

重なった唇は温かくて、切ない。
結ばれてはいけないのに、そんな我慢も理性も常識も全部無くしてしまいたい。
何も考えず彼とただ抱き合っていたい。

『なつ兄……大好き』

つながった身体に巡る二人の血は、どうして同じなのだろう。





神様らうをこのまま





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