novel

□後悔は追憶の中に 3
1ページ/2ページ

その瞬間、ミーの中の何かがぽっかりと無くなった。


とても大きくて、大事なものだったと思う。






指輪から溢れた綺麗な藍色の炎は中指から右腕、身体へと広がっていった。何となく意識が薄れるような感覚に襲われる。心地良くて、でも全てがどうでもよくなるみたいな浮遊感。

重い扉をゆっくりと開ける。ミーの姿を見て息を呑むセンパイ達に、いつものように毒舌を吐く。
「ミー、センパイ方のことー……******ー」























ミーは、出来上がった肉塊の山の上で体育座りしていた。隊服は血やら体液やらでぐしょぐしょに濡れてしまうし、柔らかいところと硬いところがあるし、正直、座り心地はよくないなーと思う。頬から顎へと垂れてくる生温かいものを人差し指で撫で取り、舐めてみる。…普通に鉄の味。誰のだろう。いや、混ざっているかもしれない。レヴィさんとルッスセンパイのは生理的に無理だなー。

不意に、銀色の反射が目を眩ませる。冷たい床に落ちていたそれは、ベルセンパイのティアラだった。返り血を浴びながらもいつものように過度な自己主張をしているみたいで、ウザい。



ベルセンパイは、一番最初に殺した。血を見て、暴れられるのが面倒だったから、すぐに首を刎ねた。その瞬間に初めて見たセンパイの瞳には無表情のミーが映っていて、あー、この人ちゃんとミーのこと見えてたんだなー、と少し驚いた。


次に、ボスを殺した。ヴァリアーの中で一番強い(らしい)から、普段ならあっさり負けていたかもしれないけれど、禁忌のリングを使い、人間とはいえない力を持ったミーには抵抗なんて出来なかった。ボスはとりあえず、心臓を握り潰した。ぐちゅ、という音がした。そして、ほんの何秒か、それでも拍動しようとしたそれの何とも言えない生々しい感覚を、ミーはこの手にずっとこびりつかせたまま生きていくのだろうと思った。


その後は、スクアーロ隊長。死んだボスを見て目を見開いて、狂ったようにミーに剣を突き刺そうとしてきた。一番ボスを慕っていたのはなんだかんだで隊長だったんだなー、などと暢気に考えていたら避けるのが遅れてしまって、気付いた時には真っ赤な剣がミーの脇腹を後ろから前に貫通していた。切っ先からぼつぼつと滴が垂れるのを眺めているミーを見て、スク隊長はなんだかとっても辛そうな顔をしていた。不思議と痛みは感じなかったから、何てことなしに振り返って腹を捥いだ。


レヴィさんは貴様何やってるんだなどとミー以上に暢気なことを叫びながら背中のサーベルを抜こうとしたので、すかさず有幻覚の刃で全身を貫いた。レヴィさんは、原形を留めないほどに引き千切られ、まるでボロ雑巾みたいになってしまった。もともとだけど、なんか一番グロいことになっちゃいましたー。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ