novel
□後悔は追憶の中に 4[完結]
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「ん……」
ふと、ミーは自分がずっと涙を流していることに気付いた。拭っても拭っても溢れてきて、止めようと思っても駄目だった。
センパイ達の山から飛び降りる。辺りはさながら地獄絵図といった感じに、臓物溢れる血の海になっている。って言ってもいつもの任務と変わらない。ただ、その無残な屍肉に成り果てたのはすべて、歴戦の猛者達だったものであるということだけが異なっている。開いちゃえば人間、同じなものだなー。
そして、何気なく見やった足元にも血溜りが広がっていた。
「……あれー?」
急に全身から力が抜け、前のめりに倒れる。嗅ぎ慣れた臭いが更に強くなって、ミーは出血源を探す。
「………あ」
満杯のバケツを倒したような勢いで脇腹から血が溢れ続けている。とりあえず左手を押し当ててみたけど、すぐに手が真っ赤になってしまった。思ったよりも刺しどころが悪かったようで、全然止まる気配がない。
「どう……しよう、かなー…」
「フラン!!」
突然、聞き慣れた声が聞こえた。ゆっくりと首を傾け、姿を確認する。パイナップルが走ってきて、ミーの身体を抱きかかえた。
「……目か耳が…おかしくなったかもですー…パイナップルが、喋って」「黙りなさい」
なんで、こんなところにいるんだろう。ミーはじっとナッポーこと師匠を見つめる。
「フラン…お前……なんて事を……」
「え、なにが、……ですかー?…」
「お前は……お前の、一番大事なものを自らの手で壊してしまった。悲しくないのですか?」
「……………………」
返事をしようと思ったけど、うまく声が出せない。なんだか、息をするのも疲れる。視界も曇り硝子のようにぼやけてきて、身体が鉛のように重く感じられる。
でも、師匠と話すのは、きっとこれが最後だから。