novel
□もう一度会えたなら 2
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「…は、はぁ?」
言っている意味が分からなくて戸惑っていると、
フランはぼと、と無造作にカエルを捨てこちらに歩いてくる。
「おい、勝手…に………」
言いかけた言葉と息を呑み込んだ。
フランが、何かの痛みに耐えるみたいに、
とても辛そうな顔をしていた。
普段コイツは、無表情ってわけじゃない。飄々としてるし、声調に波はないけれど、ここに来た日にルッスーリアに「何この子超かわいい食べちゃいたぁい!」って言われたときの世界で一番汚いものを見るような蔑んだ目は特にとても忘れられない。
でも、こんな表情を見たのは初めてだった。
そしてーゆっくりと口を開く。
「ここはほんとは前任さんの場所だから。正しい、あるべき未来には、ヴァリアーに『フラン』はいらないから………改変はいつ起きるのか分からないじゃないですかー。明日になったら、もう自分はセンパイ達のこと覚えてないかもしれない。皆さんにも忘れられてるかもしれないって思うと、怖いんですー…。何したって、全部なかったことになるんですからねー」
そうだ。
マーモンは、トゥリニセッテの一角を担う霧のアルコバレーノだ。そして、その強大すぎる力を手に入れようとしたミルフィオーレファミリーによって一度殺されたのだ。
白蘭を倒した時、同じくアルコバレーノの風とコロネロは言った。「白蘭が働いた悪事は全て、なかったことになる」と。「きれいさっぱり跡形もなくなくなる」のだと。しかし、フランはその“悪事が起きたこと”からヴァリアーに入った。
マーモンの、後任として。