novel
□もう一度会えたなら 3
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次の日。
朝、オレは重い足取りで広間へ向かった。あんなことを言ってしまって気まずかったし、数々の行動がとても恥ずかしかった。王子ありえない。カエル、いや愚民に対してあんな風に優しくするなんてありえない。
昨日結局、あの後フランには会っていない。というか王子から謝るなんてのも絶対に嫌なので、自分の部屋に引きこもっていた。
「ベルちゃんおっはよう!!」
今日もオカマが無駄にハイテンションで挨拶してくる。
「……おはよ」
無視すると更にウザいので、仕方なく返す。
「あんら?ベルちゃんが普通に挨拶返してくるなんて何かあったのかしらぁ?ていうか、いつにも増して遅かったわねぇ。どうかした?」
「…なんでもねぇよ。あっれ?」
部屋をサッと見回してもでかいカエル頭が見当たらない。朝食開始の時間から、もう15分は経っているはずだ。寝坊とかするタイプではないのでいじけてんのかなぁ、いやいやそれはもっとないだろ。
「フランは?」
オレは何の気なしに訊いた。
「え?」
「誰だぁそいつ」
息がとまる。
自分に言い聞かせるように、何とか、喉の奥から声を絞り出す。
「な…何言ってんの?…フランは、フランだろ…」
胸の鼓動がどくどくと馬鹿でかい音を立て始めた。うるさい。うるさい。
「なんだ、夢にでも出てきたのか?フラン…という奴が」
「ここはもう現実だぞぉ」
レヴィに生真面目に返事されて、スクアーロに呆れた顔で諭される。ルッスーリアもパエリアをよそいながらしなやかに小首を傾げている。ボスは気にも留めていない。そして、よく見ると、フランの席に小さな、小さな人影が。
「まったく……ベルはいつまでたってもしょうがないね」
風鈴みたいに、高いけど冷ややかな声。外見とは裏腹の、落ち着き払った態度。間違いようがなかった。
マーモンが、いた。