novel
□後悔は追憶の中に 1
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こんな風に、いつも賑やかすぎるヴァリアー。想像していた暗殺部隊とは少し掛け離れた印象だけれど、十年前はもっと殺伐としてたらしい。口より手が出て、備品も壊しまくりー。ルッスセンパイが言っていた。今は皆さん少しは大人になって(非常に信じがたいですけどー)、修繕費が洒落にならない額まで跳ね上がったところで物損については流石に少し自重するようになったらしい。あ、勿論ボス以外の話ですよー。
…まぁ、ここにいるのも悪くないですよねー。それなりにですけどー。何だかんだ言って、センパイ達といると退屈しないですしー。
でも最近、ちょっと疑問があるんですよー…
「んじゃ、そろそろ任務行ってきますねー」
「お゛う」
「あっ、そうそう今日はご馳走なのよ!もうすぐ白蘭との対決だし、景気づけにパーッとね!」
「………え」
ほら、こういう風に。
ルッスセンパイは笑顔で言う。
だけど、殺しにシビアなこのヴァリアーが、前夜祭なんてやりますー?
「そうそう、あれも用意するわね、フランの大好きな、」
「…そういうのって、勝ってからやった方がいいんじゃないですかー?」
「…あらやだ、それもそうねっ。でも、もう食材買ってきちゃったのよ!今日はルッス姐さん、腕によりをかけて沢山作っちゃうわぁ〜!」
…何故か。
『白蘭との戦いのあと』の話をすると、場の空気が刹那ー冷たい緊張感をもった硬質なものになる。
本当に、本当に一瞬でしかないけど、隊長とレヴィさんの目が何かを懐古するように細められる。ベルセンパイの口元が少し強く結ばれる。ルッスセンパイが困ったような笑みを浮かべる。
なんとなく、余所者扱い、みたいな。
「…………………………」
いや、まぁ実際新入りですしー。あんま考えるのも柄じゃないですしー。
ミーはそのまま、扉を閉めた。