novel
□後悔は追憶の中に 4[完結]
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「師……匠ー?………ミー、悲しく、なんか、…ない、ですよー……?…………センパイ達と、ずっと一緒に……いられるん…です……から………」
「……!」
本当は、この世界線でのミーが消えてしまうことは分かっていた。だけど、どうやっても一人ぼっちになってしまう現実が怖くて、怖くて、怖くて。弱いミーは、こうすることでしか自分を保てなかった。
最後に、師匠の悲痛な顔がぼんやりと見えた。背中に回した手が小刻みに震えていた。そして、ぎゅっとミーを抱き寄せながら泣きそうな声で囁く。
「………この…バカ弟子……!……」
「師匠、が……そん、な余裕…ない…と……調子、狂い…ますー…」
軽口を返すことすら満足にできないのがもどかしい。もっともっと、師匠に幻術を教えてもらいたい。犬ニーサン達に甘えたい。ベルセンパイに、もう一度追いかけてほしい。ルッスセンパイの料理を食べたい。スク隊長の大声をもう一度聞きたい。レヴィさんを揶揄いたい。ボスの戦ってるとこ、見てみたい。もう一度、会いたい、ですー…。
「…………ごめ……なさい…」
いつもふざけてばかりだったから、師匠に、センパイ達に、ちゃんと謝ったのは初めてだったかもしれない。涙が頬から耳へ伝わる一筋の温度を感じながら、ミーはゆっくりと目を閉じる。
「フラン!!!」
もっと……師匠の頭見てたいんですけどー。だけど、瞼がすんごく重いんですよー。息も……全然吸えないですしー、感かくもあんまり…あれ、ことばも 、うまくでてこないやー。
「…………!………!!…」
師匠の声も、見慣れた天井も、何もかもが遠ざかっていく。自分がなんだったのかも、よく分からなくなりそうだった。
でも……
ミーは………せんぱいと、ししょうと、こくようのみなさんのことが だい きです。
たとえ、このせかいが消えてしまっても にどと会えなくても
でも、もし、かなうならー……今度は、ぜったいにまちがえない。もう、うんめいなんかにひきさかれたくない。
だから…だからそのときがもしあったら。
今度は……
意識を手放す瞬間に、笑顔の彼らが見えたような気がした。