novel

□もう一度会えたなら 6
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瞳と髪と眉は宇宙的なエメラルドグリーン。眦から流れるように、藍色の逆三角模様が刻まれている。そして、肩に届くか届かないかほどのショートカット。若干、マーモンに似ていないこともない。被ったフードが更に端正な顔の陰影を濃くしていた。…で、何故か大きな桐の箱を抱えている。どうやら骸の連れらしいが、正直かなりタイプ。…ん?よく見ると、なんだか見覚えのあ

「?」

突然頭の中が靄がかったような感じに襲われた。…何考えてたんだっけ。まぁいいや。

「……メリットは」

低く重々しい声で必要最低限の単語だけを述べるウチのボス。玉座みたいなところどころ紅い椅子に腰掛け、長い脚を組んで片肘をついている。武器の銃こそ持っていないものの、相当機嫌が悪そうだ。まぁ、いつもこの時間は昼寝してるしな。

「クフフ、そう言うと思いましてこちらを持って来たのですが。いかがですか?」

骸が特徴的な笑い方をしながら、少女から馬鹿でかい箱を受け取り開ける。中身はー

「………………」

ボスの表情から、心なしか少し怒りが消えた。

「先日、あなたが今最高級の黒毛和牛にいたくご執心だ…と晴のアルコバレーノから聞いたもので」
「………………………」

おお。

二週間前、ボンゴレが主体となって開催したそれなりに大きなマフィア間の交流パーティーがあって。肉料理が豪華だという理由だけで参加したボス(ずっと椅子に座っていただけで口は一言もきいていない。料理はレヴィが運んでいた)はたまたま食べたジャッポーネの最高級肉がとても気に入ったらしく、珍しく3日間ぐらいはスクアーロを一度も殴ることなく上機嫌に過ごしていた。そしてボスはもちろん部下にその肉を要求したのだが、希少価値が国内…だか世界だかでトップレベルのその肉はヴァリアーの力を持ってしても予約半年待ち。機嫌を損ねたボスによって城の部屋が三つ吹き飛んだ。それからずっと、隊員五名が「肉を手に入れるまで帰ってくるな」と言われジャッポーネから戻れずにいたのだ。…てか、うん、ほんと沢田に頼めばすぐ食えそうなのにな。

「…………………いいだろう」

こんな素直なボス初めて見た!
他の幹部にも動揺が走っている。そりゃそうだ、あのボスがそわそわしてるんだぜ。どんだけ美味かったんだよ。しかし、そこでさっきの少女が何の前触れもなく口を開いた。

「おチビさん、どうかしましたか」
「あのー、ミーこんなとこに居たらこの人達の野蛮なオーラが感染るんで嫌なんですけどー」

清々しいほどよく通る綺麗な声だった。全幹部の顔が引きつった。ピシッという音が聞こえたような気がした。
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