novel

□天邪鬼のタカラモノ
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ーーーー…

退屈な授業や意味があるとは思えないホームルームでの教師の話が終わり、鐘が鳴り始めるかどうかの内にボクはさっさと帰り支度を済ませて教室を出る。

「周くん、さようなら」
「………」

この教師はボクをイラつかせるようなことはあんまり言わないからマシな方だけど、学校に来てるのを見つけたからっていちいちボクに嬉しそうに話しかけないでほしい。

「おー、周じゃん!元気か?!彼女も元気か!?…元気ねぇな。よーし。…………。あ、俺の渾身の変顔…。さすがに周でも笑うと思ったのにな〜」
「ぶっ!ふ、ふははは、櫂、その顔マジヤバい!!」
「翔太が笑ってんじゃん!くそー、翔太も変顔してみろよー!」
「お!?望むところだ!せーの、」

無視。

「おう、周。今日は割と顔色良いみてぇだな。安心したぜ」
「………」

アンタにボクの体調なんて関係ないでしょ…。

「こんにちは、周くん。ひょっとしたらもう知っているかもしれないけれど、昨日ね、新しい花が咲いたんだ。今度また二人で花壇を見に来てね」
「…気が向いたらね。あと別にボクは花なんてどうでもいい」
「あ…周。この前撮らせてもらった写真、凄く良いモチーフになったよ。ありがとう」
「ボクが望んでやってあげたみたいな言い方やめて。もうあんなこと事故でも二度としないから」

あのバカが論外だとしても、ボクの性格や行動を妙に考えて言葉選びされても『分かってます』って感じで時々気に食わないんだけど。あとアンタは…他の奴らみたいにうるさくないからマシだけど、あんまり調子に乗ってると許さないよ。

ただでさえ学校に来て退屈な教師の話を座らされたまま何時間も聞いたっていうのに、余計な奴らに絡まれたことで気分はサイアク。特に一番最初の奴。

「疲れた…ホントムカつく……」

目の下に濃いクマが出来たような気がしながら、2年A組、と書いてあるプラスチックの札を横目で見て教室に入る。今は出入り口のすぐ近くの席だから、無駄な奴らの会話が聞こえてこなくていい。
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