無気力系女子のゆるふわデイズ

□正面衝突される。
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この角を曲がったら、運命の人と正面衝突


どこぞの少女マンガにありそうな展開に誰しも夢見る頃があったと思う。

しょうがない、乙女故なのだから。


だが私は今日限りでそんな少女マンガ的展開には夢を見ない事にした。


なぜかって?


ことの発端は、ほんの数分前…










ーーーーーー


放課後。
私はスクバを肩に背負い校舎を出ようと歩いていた。


しばらく行った先にある曲がり角……いや、今日から私はここを魔の角と呼ぶことにする。



そんな魔の角を曲がろうとした瞬間、事件は起きた。




ダダダダダダダダダダ…!!!!!!


「うおおおおおお!!!」

『!!??』



ドンッ!



物凄い馬鹿デカイ声…いや、雄叫びと共に肩に強い衝撃


『(これが噂の正面衝突か…!)』

なんて考える暇もなく、床に叩きつけられる私の身体。


痛い!地味に痛いよ!!


ギリギリ頭を打つのには逃れたが、その代わり反射的に出してしまい、犠牲となった私の左手。

うわっ、青くなってる!
っエグ!!エグい!!!




「!!スンマセン!ぶつかってしまった!大丈夫ですか!?」


おぅふ!馬鹿デカイ声!
心配してくれるのは嬉しいんだけど、耳元で叫ばないで!!耳がつんざく!


『ダ、ダイジョウブデス…』

左手以外はね←


「な(ら)よかった!じゃあお(れ)は急いで(る)から行くな!!次からは気を付けろよ!」


え、ちょい待ち。それって絶対君の方だよn「うおおおおおお!!!!!!」




・・・行ってしまった。





再度左手を見ると、さっきよりも酷い事になってる青あざ。

あ、これ逝ったわ←
ヤバいな。早く帰って復活草使わないと←



『おいしょっと…』

重い腰を上げてスクバを持ち直し、左手をブラブラさせながらゆっくり歩き出す。







そして今日私は学んだ事が一つある。


リアルな正面衝突は「キャッ!いった〜!」ではすまないよ☆←




・・・・・。



『(帰ろ…)』



自分の言ってる事が虚しくなってきた名前の後ろ姿は、少し寂しかった…。



















ーーーバスケ部ーーー



「…おい、早川はまだ来てないのか?」

「ん〜…来てないみたいッス!」

「ったく、何やってんだよアイツは…」


…ダダダダダダダダダダ


《ダンッ!!!!!!》


「遅(れ)てすいません!」

「早川遅いぞ!何してたんだ!?」

「ハッ!!笠松先輩!全速力で走ってきたんですけど、途中で事故(り)ました!!」

「は?事故?」

「廊下の曲がり角で女子とぶつか(り)ました!!」


早川が何の悪びれもなくそう言うと、周りにいた部員達が一斉に眉をよせた。

近くにいた森山が早川に話しかける。


「…早川、お前さっき《全速力で走ってきた》って言ったよな?」

「はい!もち(ろ)んです!」

「女子とにぶつかった時も全速力だったのか?」

「??もち(ろ)んっすよ!」



なにがもちろんなんだ…と、言いたげの森山。

その話を聞いていた笠松と黄瀬も苦い顔をして互いの顔を見やった。



「全速力の早川にぶつかられるって…大丈夫なのか?その女子…」

「可哀想ッスね…」


ただでさえ危なっかしい早川にぶつかられたんだ。確実に怪我の一つや二つ負ったに違いない。


いや、間違いなく負ったな。


「早川、お前取り敢えず今度その女子に会ったらすぐ土下座しとけ」

「??うっす!」

笠松に土下座しろと言われ、いつもの威勢のいい返事をする早川に森山が話しかける


「ってゆうかなにお前少女マンガ的運命の出逢いしてんの?俺だって本当は今頃可愛い女の子と…」



「あーもうお前らこの件は一旦置いといて練習に戻るぞ!早川は早く着替えてこい!」

「うっす!俺行ってきます!」




笠松の掛け声に選手達はそれぞれの持ち場へ散っていく



「くそ!早川だけズルいぞ!」

「お前はいつまで引きずってんだ!!早く戻れ!」

「ほらほら、森山先輩行くッスよ〜」




今日も海常高校バスケ部は通常運転です。






















青あざ?いいえ、勲章です。






ーーーーーー

笠松先輩が出せて私はもう幸せです←


次はどうやって絡ませようかな…

20130201


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