無気力系女子のゆるふわデイズ

□謝られる。
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「ねぇ名前」

『なに?』

「今更なんだけどさ、その腕どうしたの?」


うん。本当に今更だね。


『この前男子と少女マンガ的正面衝突して逝った。で、このグルグルに巻かれた包帯は勲章なんだ〜。』

「ふーん…なんだかよく分かんないけど色々あったんだね。」


とある日の昼休み

私達はそんな事を話しながらお弁当を食べていた。



見知らぬ少年と正面衝突して3日たっているが、未だに左手はジンジンと傷む。

どんだけ全速力で走ってきたんだよ、少年。


教科書などの物を運んだりする時は亜季に手伝ってもらっているが、左手が使えないというのは結構不憫で…。


自然に『ハァ…』とため息が零れる




「あの〜すいません。気分下がってるとこ悪いんスけど…」

『え?なんですk……』


なぜ言葉の続きの発さなかったって?


読者の皆様は分かってると思うが、今私の目の前にいるのは…


「よかったー!その怪我の事で用があるんスけど、いいスか?」



黄瀬なんたら君なのだ。

私が高校卒業までに絶対に関わりたくない人ランキング1位の黄瀬なんたら君が目の前でニコニコしながら話しかけてきているんだ。




『(イィィイイヤァァァァァ!!!!!!)』

今にも叫びそうなところをグッと我慢する。


頑張るんだ名前!
堪えるんだ名前!
お前ならできる、名前!



『なっ、なんか用でしゅか!?』

「ブッww」


噛んでしまった…orz

っていうか隣で笑わないで下さいよ亜季さん…orz



「(噛んだ…)あの、もしかしてその腕の原因って、短髪でうぉぉぉ!!とか言ってる男子にぶつかられたんじゃないスか?」


なぜ分かったんだね黄瀬なんたら君。
君はエスパーか。そうなのか。


『そうです…けど……』


私がそう言うと「やっぱり」と言ってバツの悪そうな顔をする黄瀬なんたら君。


やめてそんな顔しないで!
ただでさえ女子からの視線が痛いっていうのに!

ヤバイ変な汗がいっぱい流れてきた…


「あー…その男子俺と同じバスケ部の先輩なんスわ。で、すいませんけど放課後体育館に来て欲しいんスけど…ダメッスかね?」

『(Nooooooooo!!!!!!!!)』


やめてくれ!
私いま女子からの無言の威圧に堪えるだけで精一杯なんだ!

その上バスケ部に行け、だと…!?
今の私には死刑宣告にしか聞こえないよ!


てゆうか、黄瀬なんたら君バスケ部だったんだね!初耳!!



彼にどうしても関わりたくない私は彼の申し出を断ろうとした。

断ろうとしたのだ。


『すいませんが放課後は予定が…「行ってきなさいよ名前。」………は?』

今 何 て 言 い ま し た か 亜 季 さ ん ! ?


「名前、帰宅部だし特に用事とか無いでしょう?言って謝られて来なさいよ。」


どこか楽しそうに言う亜季は絶対にこの状況を楽しんでるんだと思う。

いや、っていうかもう確信犯だろこの人。


『え、でも…』

「よかった!じゃあ放課後迎えにくる…って言っても同じクラスッスね(笑)」


そして「じやっ、また放課後!」と言いながら颯爽と教室を出ていた黄瀬なんたら君。

流石モデルだ。

黄瀬君ファンの子達がゾロゾロと後をついて行ってる。


なんかもう凄いを通り越して怖いよ。

っていうか…。

『…裏切ったな亜季……』

「私は事実を言ったまでよ(笑)それに、たまにはこんなイベントに関わってみるのも悪くないじゃない?」


あの、スイマセン。
そのイベントに関わるのわたしなんですけど…。


「もう決まったちゃったものはしょうがないんだから、名前、いい加減腹くくりなさい。」


その時の亜季の笑顔といったら、それはそれは楽しそうで…

私はそのまま勢いよく机に突っ伏した。













ーーーーー


《キーンコーンカーンコーン》

私が死刑台へ行くチャイムが鳴る。


遂に来ちまったよ放課後!
もういっその事逃げようかな…


「名字さーん!行きましょー!!」


神様は私に微笑んでくれませんでした。

ニコニコと笑いながらこっちに来る黄瀬なんたら君とは対照的に、どんどん顔色が悪くなって行く。


今なら女子からの視線だけで軽く死ねると思う。


「頑張ってきなさい、名前。」

そう言って私の肩にポンっと手を置く亜季。


皆さんお忘れの様ですがこうなったのは亜季のせいですからね!?


「大丈夫ッスか?名字さん?」

「あぁ、この子ちょっと人見知りだから。黄瀬君、宜しく頼むね〜」

「そうだったんスか!了解ッス!!」


「じゃっ、私は部活行くから。じゃあね〜」

そしてそのまま教室を出ていく亜季に力無く手を振る。


しょうがない。こうなった以上、さっさと用をすませて全速力で家に帰ろう。


『私達も行こうか、黄瀬君。』

「はいッス!」

















「…名字さんってクールッスよね!」


いきなりどうした黄瀬なんたら。



『そうかな?別にそうは思わないけど…』



それより早く着いてよ体育館!


「なんて言うか…雰囲気?スかね!授業中もずっと勉強してるし!」


うん。雰囲気は多分無気力のせいだね。


それに授業中はわりと絵とか描いてるし。



まじめっ子じゃなくてごめんね黄瀬君。




そんな事を言ってる内に体育館が見えてきた。



『(よっしゃ見えてきた私のオアシス!)黄瀬君早く行こう!』

「(急に明るくなった…?)は、はいッス!!」


そして二人は駆け出した。











ーーーーーー


「本当ご(め)んな!」


『いや、もう充分ですからとりあえず頭上げて下さい』



私は今魔の角でぶつかった先輩に土下座されている。

会った瞬間土下座された。
光の早さで土下座された。
それはもう今世紀最大級のどげ((ry



「う、うちの早川がすまなかったな。てて手、だっ大丈夫か?」

『それより先輩の方がイロイロと大丈夫ですか?』


顔を真っ赤にさせながら謝ってきたキャプテンさん。

あれかな?私に対しての何かしらの拒否反応なのかな?



だったら本気で泣くぞ。



「も〜!キャプテンどもり過ぎッスよ〜」

「うるせぇぞ黄瀬!《バシッ》」

「いって!何も叩かなくってもいいじゃないスか〜!」



なんだこれ漫才か。




「ここだけの話し、キャプテンは女の子が苦手なんスよ〜」


頭をさすりながら立つ黄瀬君にコッソリ教えてもらった。


私に対しての拒否反応じゃなかったのね。
よかったよかった。


それにしても女の子が苦手とか可愛いなーオイ!


『あの、手は別に大丈夫ですから。あと早川?先輩はこれから気をつけて下さいね』

「あぁ!気をつけ(る)な!」


おぅふ!またしても馬鹿デカイ声!!



まぁ、もうここには用は無いし帰っていいかな?


『あのースイマセン。もう私帰っていいですか?』

「ん?あ、あぁ。長い間話してすまない…腕、お大事にな。」

「え〜!もう帰っちゃうんスか?」

『ごめんね〜私最近ホームシック気味なんだよね。』



外に出たらめんどくさい事に巻き込まれるし、家でゆっくりしたいんだよね。

もうめんどくさいのは勘弁…。


うん、帰ろう。
今すぐ帰ろうさぁ帰ろう。


『じゃあ、失礼します…』


そう言ってそそくさとその場を立ち去ると、後ろから黄瀬君の「また明日ッスね!」という挨拶が返ってきた。



いや〜…黄瀬君の事は嫌いじゃないけど……


『(…明日は学校休もっかな)』


黄瀬君ファンの皆様に「あなた黄瀬君のなんなの!?」とか言われてイジメとかされないといいな。



黄瀬クラスタの皆様に合わせる顔がないわ…。



そして私は今日もとぼとぼと家路を急ぐのだった…。












ーーーーーー


「なんだか不思議な奴だったな。黄瀬が側にいても騒がなかったし。」

「そッスよね〜俺に興味無いみたいだし、今までに見たことない女子ッス!」

「全員が全員お前ファンと思うなバカが!《ゲシッ》」

「あぃた!蹴らなくてもいいじゃないスか〜……まぁ、でも…」





…ちょっと興味わいたッス!




「おら黄瀬ぇ!練習始めっぞ!」

「はいッス!」


黄瀬が名字名前という存在に珍しく興味を沸かせた瞬間だった…。

















もう関わりたくないと思った今日一日。







ーーーーーー

早川先輩のキャラが分からん←
口調とか間違ってしまってたらごめんなさい。

あと女子が苦手な笠松先輩美味しいです大好物ですグヘヘ←


20130213


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