戦国無双 夢部屋 (土佐)
□出会い
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「其方は、医者か?」
振り向くと少し息が上がり体は腕に傷を負った青年が立っていた。手には何故か三味線を持っている。
優璃はそんな風貌の彼に些か疑問に感じつつ「(只事じゃなさそうだな…)」と思い答える。
「ええ、そうですが緊急ですか?」
「ああ、来てくれ。」
そう言い、彼は周りを警戒しながら走り出した。気配を消している様だが、2.3人の忍びがついて来ている。
優璃は彼について行く道中考える。
「(さっきの三味線の家紋は、たしか長宗我部の紋だった。腕の傷口はこちらからあまり見えないがクナイか何かの傷か…?追われてる身である事は間違いなさそうね。)」
森の中の空き家に着き、中に入るよう即され入って見ると横たわった男性に1人の少女が看病しているようだった。
「フク、周りを確認して来てくれ。」
「分かった!」
フクが飛んで行ったのを三味線を持った男は少し驚き目を見開いていた。
するとさっきの光景を見た少女が
「あの鳥は喋るのか!?凄いのじゃ〜!!」
「ええ。」と軽く笑みを浮かべた後、横たわる彼を診て「酷い怪我ですね。それに、熱も高い。」
「助かりそうか?」
「出来るだけ処置はしますが、此処では彼の気力しだいです。」
そう優璃が返事すると、少女は困った顔で
「父上〜〜、死なないで欲しいのじゃ〜」
と悲痛な声で叫んで三味線の男に抱きつき泣き始めた。
優璃は少々、心を痛めつつ手当しながらどうするのが得策か考える。
「(この男の紋は明智。ここまで酷いと手術するしかないんだけど…。此処より安全だし提案してみるか…。)」
「長宗我部殿?」
「 ‼ そうだが、何故分かった?」
「三味線の家紋です。それより、緊急のようなので移動しましょう。此処より私の家の方が安全です。彼の治療もここよりマシです。」
「…分かった…。感謝する。」