戦国無双 夢部屋 (土佐)
□元親と依岡
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優璃は元親の部屋にたどり着くとわざと勢いよく襖を開けた。
優璃:「元親!元親、起きて!」ゆさゆさ、揺らしながら一生懸命起こす優璃。
元親は、寝返りを打ちまだ起き上がろうとしない。
元親:「……。」
優璃:「元親!蘭丸さんが来てますよ。今、会見間で待ってますから早く起きて下さい!」
元親は、ようやく上半身を起こし、起き上がった。
元親:「ああ、分かった。」
優璃:「それと昨晩、豊臣の加藤清正さんがこちらに急いで向かって来ているそうです。なので、書状は送らなくてよさそうですよ。」
元親:「そうか。後で詳しく聞かせろ。」
優璃:「はい。では私も会見間におります。」
元親:「ああ。」
会見間に立花夫婦、毛利元就、信親が集まっていた。
蘭丸:「早朝に済みません。信長様の使いでまいりました。」
元親:「ああ。して、要件はなんだ。」
蘭丸:「はい。信長様は光秀殿の生死を急いで確認するようにと仰いました。光秀殿にお目処うり願いたいのですが…。」
元親:「分かった。だが光秀はこの城にはおらん。」
蘭丸:「居ない?じゃあ、何処にいるのですか?」
元親:「この者の家だ。」
元親は優璃を指した。
元親:「優璃、朝餉が済んだら先に皆を連れ案内してやれ。」
優璃:「承知しました。」
優璃は朝餉を済ますと、蘭丸、立花夫婦、毛利元就を連れ馬に跨り、家に向かった。
そして、元親は優璃達を一旦見送るとねねの元へ向かった。
ねねの一室、元親とねねが互いに向き合って座っていた。因みにねねは宴が始まる前に座敷牢から普通の客室に変わった。この行為でねねは優璃が元親に交渉してくれたと察した。
ねね:「昨日、優璃ちゃんから話を聞いてくれたみたいだね。」
元親:「ああ、依岡の事がなければ関わるつもりは無かったが止むを得ん。あの時既に知っていただろう。何故知らん顔をした?」
ねね:「私も半信半疑だったから…。一応、うちの人には伝えてはあるのよ。」
元親:「先程、織田の使者からの情報だが前田利家が軍を連れて豊臣に向かってるそうだ。」
ねね:「!? なっ、今の本当なの!?」
元親:「ああ、このままだと本当に陰謀を企てた奴の通りになるだろう。それを救いたければ依岡は必要不可欠。」
ねね:「その依岡って一体……?」