戦国無双 夢部屋 (土佐)
□安土城2
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依岡の診療を終え優璃は三成の元へ向かった。元親は信長に呼ばれ会見間にいる。そこには謙信と信玄もいる。
信長:「元親よ、優璃を室に迎える気はないか?」
元親「…。どういう事でしょう?」
信玄:「優璃ちゃんの身を案じての提案じゃよ。」
謙信:「優璃の正体と医術力の高さに知性は、この城の者全てが知っておる。故に国中に知れ渡るのも時間の問題。そのうち優璃の能力を欲する者が現れよう。」
信玄:「これ以上、戦を起こさない為でもあるのじゃよ。その為に優璃ちゃんが平民のままでいるよりはある程度身分を与える必要があろう。」
元親:「…。」
信長:「元親よ、昨晩の宴で仕官を儂は断られたが、お主があの者を平民のままにしておくならば儂は諦めぬぞ。」
元親:「 !! 」
信玄:「それとも室は嫌かのう?駄目ならうちの幸村の室に迎えても儂は構わぬ…」
謙信:「宿敵、聞き捨てならぬ!」
元親:「俺は優璃を誰にも渡すつもりはない。始めて会った頃から決めていた。優璃にもそう誓った。室に入れる件、願ってもない事だ。俺は喜んで受け入れるが、それは優璃の意思を先に尊重した上で迎えたい。」
信長:「フフフ、であるか。」
その頃、優璃は三成と共に大谷吉継の部屋に来ていた。三成は吉継に優璃の事を話た。
三成:「紀之介、優璃の医術の腕は確かだ。俺を信じて治療を受けてみないか?」
吉継:「しかし、私の病気は不治の病だ。治る筈がない。」
優璃:「治るかどうかは診てみないと分からないでしょう。治したいという気持ちがまだ、あるのなら私に診せて頂けませんか?」
吉継は優璃をジッと見つめ、しばらくして覆面を脱いだ。眉毛が抜けて薄く、顔は赤い斑が全体にできている。優璃は顔色一つ変えずに上半身も診せるように言うと、着物の下は布で巻かれていてミイラ男のような状態だった。三成は吉継の巻かれている布を取るのを手伝い、優璃は持ってきた鞄を開けて診察の準備をしている。
優璃:「係り付けのお医者様は何と診断されました?」
吉継:「らい病だ。」
優璃:「膿を採取するので腕を出して下さい。何か服用している薬があれば教えてもらいますか?」
吉継:「いや、ない。」
優璃:「血液検査もするのでそのままにしてて下さい。」
優璃は血液の採取をした後、しばらく検査をし始めた。
優璃:「(やはりらい菌か…。薬を持って来ておいて良かった。)」
優璃は鞄の中からハンセン病薬のリファピシン・クロファジン・ジアフェルスルホンの三種類の薬を出した。それぞれの薬の役割や完治するまで約六ヶ月から一年の服用が必要である事を伝えた。吉継は了承し薬を受け取った。
優璃:「今は一ヶ月分しか無いので、無くなる前に届けに行かないと行けませんね。普段は大阪城に居られますか?」
吉継:「ああ。だが、今はこの騒ぎだ。優璃殿に来てもらうには危険かもしれん。」
三成:「ならば俺がその薬を取りに行こう。」
優璃:「それでは治療の経過が診られません。危険でも引き受けた以上最後まで診に参ります。」
優璃はクロを呼び、蘭丸同様に一羽の鴉を連れて来てもらった。返事をしたクロに三成と吉継は瞠目している。
クロ:「連れて来たぞ。」
優璃:「ありがとう。 船の手配をして大阪の港に来ます。日取りはフクに伝達をお願いしますが、それまでに何かあればこの子に文を持たせて下さい。」
そう言って優璃は以前、蘭丸に説明したように二人に説明をし、笛と餌袋を渡した。
吉継:「承知した。」
吉継は女人の身でここまで尽くしてくれる優璃に感動した。三成も優璃を吉継に紹介して心から良かったと思い、優璃を強く信頼するようになった。