戦国無双 夢部屋 (土佐)

□十河一族
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優璃達は野盗の根城に着くとボロい小屋に入れられた。
外には二人の見張りが立っている。
兼続が小声で話し掛ける。

兼続:「元親殿、十河という者は何者なのだ?」

幸村:「そろそろ私達にも詳しく教えて頂けませぬか?」

元親:「十河存保(そごうまさやす)は讃岐の辺りを支配していた三好長慶の親族であり配下だ。かつて俺が四国を統一する為に戦した敵。」

兼続:「なにっ!?」

元親:「俺が三好家の城を攻め、落城に追い込んだ時、十河一族は敗走したと聞いた。」

幸村:「その敗走したという十河一族が彼等なのですか?」

元親:「優璃が拾った刀の紋とさっきの話しの反応を見る限りではその可能性が高い。」

兼続:「それで交渉と言っておったが可能性はあるのか?」

元親:「さあな。なるべく穏便にするつもりだが。」

安芸:「元親様、頼みますよ!あの十河存保は讃岐の猛将と言われてた武士。あまり刺激されては我々の命も危険です!」

優璃:「安芸様、落ち着いて下さい。それに可能性なら十分にありますよ。」

兼続:「と言うのは?」

優璃:「刀を拾った時から彼等の行動は度々見ていたんです。彼等は野盗と呼ばれてはいますが農民を襲ったり盗みをするような行動は一切ありませんでした。先程の男の人が私達を此処に連れて話に応じるのは今の生活に限界を感じているからでしょう。彼等も生きるのに必死なんです。ただ、元親が彼等をどう抱え込むのかがこれから重要な問題になって来るのかもしれませんね。」

依岡:「俺もそれは思った。俺の時とは状況が違うからな。」

幸村:「依岡殿も元は敵国の家臣だったとお聞きしました。」

依岡:「ああ。俺の一時期仕えた一条家も今じゃすっかり長宗我部家に呑み込まれたぜ。早めに見切り付けて良かったよ。」



一方野盗側

野盗1:「存英(まさひで)様、只今戻って参りました。」

存英:「ご苦労だった。それでどうなったのだ?」

野盗1:「はい、優璃という女が大量の食料を持ってきたのは良いですが…実は長宗我部元親とその家臣の依岡、安芸が来て居ります。」

存英:「何だと?」

野盗1:「それと優璃という女にはあの武田の家臣真田幸村と上杉の家臣直江兼続が付いて居ります。念の為に腕を縛り今は小屋に入れております。長宗我部元親は存英様にお目通りを望んでおります。いかがいたしましょう?」

存英:「………。」

野盗1:「……。」

しばらくの間存英は考え込むように沈黙し辺りは静かになると部屋に一人の男性が現れた。彼は坂東保長(ばんとうながやす)という男で彼も十河一族の一人で存英の弟にあたり、坂東家の養子になった。

保長:「兄上どうなされました?」

存英:「保長か…。」

保長:「はい。今日はいつもの貧しい食事と違って急に豪華になり、皆が喜んでおります。」

存英:「うむ。そうであろうな…。」

保長:「兄上、我々にあの様な食料を与えた娘は今捕縛されているというのは誠で?」

存英:「ああ。」

保長:「なにゆえ?」

存英:「手荒な真似はしたくわないが事情があってな…。」

保長:「事情でございますか…」

存英:「あの女にあの武田の家臣真田幸村と上杉の家臣直江兼続が共におる。それに加え長宗我部元親とその家臣、依岡と安芸氏もな。」

保長:「ほう それは凄い!」

存英:「呑気に感心している場合ではない!父上と離縁し我等に着いて来た者達の為にどうするべきか今が重要な事ではないか!」

野盗1:「存英様…」

保長:「ではまずその捕縛している娘さんに事情を詳しく聞き出してはいかがでしょう?長宗我部元親の相手はそれからでもよろしいと思いまする。」

存英:「うむ、そうだな。勘吉(野盗1)捕えた女を此処へ連れて参れ。」

勘吉:「はっ!」
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