戦国無双 夢部屋 (土佐)

□大阪城へ
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その後、奈半利城の城主 安芸氏は元親に城主を辞退し隠居を願い出た。
そのため後を引き継いだのは兼続の予想通り、姫蔵右衛門尉となった。家が近い優璃としてはこれまで野盗の捕縛に積極的に協力をしてもらったりと友好的な関係を築けると安芸氏からの配慮もあった。

そして国虎は病に倒れた。
優璃は積極的に国虎の屋敷を何度も訪れ和解と治療へと足を運んだ。国虎は初めは優璃の面会を拒否したものの、何度も訪れ屋敷の前で正座をし会いに来る姿に折れ優璃を中へ入れた。

国虎:「フン 勘違いするな。あのまま放って置いては後に元親様から怒りを買う事になる。それにこれは自分の招いた所為だ。お前が気に病む必要はない。だから帰れ。」

優璃:「しかしお身体の具合いだけでも…」

国虎:「断る」

優璃:「え?」

国虎:「十河族の因縁は消えん。これはどうしようも無い事だ。この感情で安芸の一族も殿にも迷惑を掛けた。」

優璃:「……」

国虎:「それにお前は俺の身体の事より越前の大谷殿の治療へ行かなくてはならんだろう?」

優璃:「はい…ですが…」

国虎:「ならばさっさと行け。俺の事は気に病むな。これが潮時なのだ。」

優璃:「どうしてそう死に急ごうとされるのですか?死んで責任を取ろうなど虫が良すぎます!」

国虎:「…! クククッ…泣かずとも良いに…」

優璃は知らずに目から涙が出ていた。

国虎:「ま、武士だからだ…」

そして優璃は屋敷を出る前にこっそり近くの女中と家臣に解毒剤と治療薬を渡して帰った。
しかし虚しくも国虎は見抜きこれを口にする事はなく庭で自刃しこの世を去った。
隠居後、僧侶となった安芸氏が遺体を寺へ埋葬し大阪から帰った後に優璃と元親はお参りに足を運んだ。


そして信親は先に存英とその率いる部下達を連れ高知城へ戻った。
優璃はさっそく残った保長の部下を与七にあらかじめ用意して貰った仮小屋へ一旦、仮住まいにして貰い設計した図案の通りにそれぞれの住まいと宿の増築など城主となった姫蔵の部下と協力してもらいながら建築を進めていった。
このテキパキと速い行動と進みに保長は唖然として見ていた。
そして優璃は保長を自分の住まいに住まわせる事にした。
この決定に元親は一度眉間に皺を寄せ訳を問い詰めていた。

元親:「保長をお前の側に置く理由はなんだ?」

優璃:「今、手が足り無いんです。」

元親:「?」

優璃:「与七は良くやってくれているけど…。家を守る為に動かす訳にいかないし…だから助手として欲しいんです。それ以上贅沢は言いませんからどうか許して貰えませんか?」

元親:「……」

優璃:「元親?」

元親は技と唇を奪った。

チュッと音がし優璃は赤面する。

元親はフッとしてやった様な顔で笑む。

元親:「惚れた女の側に幸村達が居るだけでも腹立たしいが、これで許してやる。保長を正式にお前の家臣として据えてやろう。」

そして優璃は依岡の家臣という位置付け、陪臣だったがそれから外れ同等の地位まで上げられた。
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