戦国無双 夢 (土佐)番外編 (短編)
□秘密の部屋(元親視点)
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駒欄 優璃と知り合ってまだ二月ぐらいか…。知り合ってから日々が色濃くなってきた気もする。
その原因は自分がこんなに一人の女に夢中になった事が今まであっただろうか?
「(いや、ないな…)」
亡き妻を愛していなかった訳でもないが今の様にのめり込む程の感情ほどでもなかった。
ここ最近になってこの奇抜なこの家にも慣れた。帰る気も更々ないといった立花夫妻も居心地よさそうにこの家に馴染み出している。
「(自由過ぎないか?家臣が哀れだな…。その反面俺はまだマシだ。)」
近頃気になる事がある。それは夜皆が眠りに着く頃俺はいつも優璃の居室を訪ねるがいつも居た為しがない。いつも決まって研究室で何かやっている事が多い。優璃の居た世では研究者はこの刻限までは普通に働いているのは普通らしい。
「(熱心なのは良い事だがあれでは体を壊す。何度も注意しても直る気配がない。ならば…)」
元親は心の奥底で決心を固めた。
深夜11時を過ぎると優璃はいつもの様に研究室にいた。
元親:「……優璃。」
優璃:「はい。」
元親:「いつまで起きている。夜更かしは体に毒だ。」
優璃:「大丈夫ですよ。睡眠が少ないのは体が慣れてますから。」
このやりとりを飽きずほぼ毎日している。
元親:「何故寝ようとしない?警戒しているのか?」
優璃は手をピタっと止めた。
優璃:「……まさか…前にも言いましたよ。私はただやりたい事に忠実なだけです。そのような心配などしていません。」
優璃は頑なに寝る事を拒んでいる様に見える。
元親:「(寝るのが不安なのか?とにかくこのままではいつもの様に徹夜になる。それは何としても防がなければならん。今日は無理やりでも寝かしつける。)」
元親:「なら今日は俺と寝ろ。」
優璃:「はい?」
元親:「命令だ。今日はもう研究は中止しろ。そしてちゃんと睡眠を取れ。」
元親は強引に優璃の腕にあるピンセットを奪う。
優璃:「わっ分かりました!寝ますから!それ触ると危ないですから触っちゃダメです!」
優璃はシャーレに蓋をして渋々片付け作業に掛かる。
元親:「ところで優璃、お前は普段自室を利用していない様だが何処で寝ているんだ?」
優璃:「そこのリクライニングシートっていう椅子やこの奥の部屋のソファーや仮眠室です。今日はちゃんともう寝ますから元親も部屋に戻って寝て下さい。」
元親:「何を言っている。今日は一緒に寝ると言ったであろう。冗談だとでも思ったか?」
優璃:「冗談にして下さいよ。そもそも他人と一緒に寝るなんて人生一度もないし余計眠れない気がします。」
元親:「なら俺がその初めてを貰おう。」
優璃:「貰わなくて良いです!」
元親:「照れるな。」
優璃:「照れてません!」
元親:「与七から聞いたが不眠症という病ではないのか?」
優璃:「そうかもしれませんが、全く眠れない訳じゃありませんから対した事ありません。」
元親:「だからといって毎日こんな生活を続けていれば体に毒だ。仮眠室とはどこにある?」
元親は優璃に仮眠室に案内させた。