戦国無双 夢部屋3 ( 筑前)

□迷想
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そして女中がそらの汗を濡れた手拭いで丁寧に拭き新しい着物に着替えた。
女中は宗茂が気に入っている女性という事でいずれ側室に迎えるのかもしれないと思いそらに対してとても丁寧に接していた。
そらは薬が効いてきたお陰で熱が下がり呼吸も楽になっていた。
少し縁側に出たいと思い女中に話をし縁側に腰掛け庭を眺めていると心地よい風が吹いてそらは久々に心が癒された。

女中:「何か茶菓でもお持ちしましょうか?」

そら:「え?いいんですか?」

女中:「はい。そろそろ宗茂様もこちらにいらっしゃると思いますのでお二人でゆっくりなさって下さい。」

にっこりと微笑み女中は茶菓の準備をしに去って行った。

そら:「(な、なんだ?; )」

すると女中の言う通り宗茂が椎信を連れやって来た。

宗茂:「もう起き上がって平気か?」

そら:「はい。薬が効いてきたみたいで…今は大分楽になりました。…そちらの方は?」

宗茂:「紹介するよ。俺の家臣でここの城主を勤める湯布 椎信だ。」

椎信:「立花家に仕える椎信と申す。酷い傷だったが元気になられたようで良かった。」

そら:「はじめまして、広末 そらです。命を救って頂いて感謝致します。」

椎信:「ああ、畏まらずとも良い。私は何もしておらん。其方を救ったのは宗茂様だ。」

そら:「はぁ… (ちょっと待った…城主?家臣?さっき立花家とか言ってたっけ…立花……)」

そらは頭に疑問符が浮かぶ。

女中:「あら、椎信様も御一緒でしたか…」

椎信:「何だ?」

女中:「てっきり宗茂様とお二人で居られるかと思っておりましたので…」

椎信:「そうだな、邪魔者は退散でもするかな。」

女中:「ええ、是非そうなさって下さい。では宗茂様、そら様失礼致します。」

女中は二人分の茶菓のお盆を置いて椎信を連れ去って行った。

宗茂:「ハハ、相変わらずだな、彼奴らは…」

宗茂は楽しそうに笑うとそらの隣へ腰掛けお茶とお菓子をそらへ差し出す。

そら:「あ、どうも…。あのそれより城主って言ってましたけど…」

宗茂:「……ああ、此処酒見城の屋敷だから…天守閣はもう少し登った処にあるんだよ。」

そら:「へ〜…酒見城……」

宗茂:「それより美味しいよ?これ名物の焼き菓子なんだ。」

思い出そうとしているそらに菓子をすすめる宗茂。自分が不覚にも余計な事を言ってしまった事に後悔し焦る。

そら:「あ、カステラですね。私これ好きですよ。名物って事は……!!此処もしかして九州ですか!?」

宗茂:「 !! 」

宗茂は思わず驚く。

宗茂:「そうだが… ( 参ったな…君の知る九州と異なるという事をどう説明すれば…)」

そら:「そっかあ〜…私、九州まで流されて来ちゃったんだ〜…そう言えば船、鳥取県通過して九州方面に向かってたっけ…」

宗茂:「船に乗っていたのか?」

宗茂は話を変える為、彼女のこれまでの経緯を聞く事にした。

そら:「ええ、私SPと言ってお偉い様方をお守りする護衛のお仕事してるんです。」

宗茂:「へぇ〜、それで銃とか持っていたんだね…。あ、済まない…荷物を少し見させて貰ったんだ…。」

あえて知らぬ振りを通す宗茂。

そら:「いいえ、見られて困る様な物は無いと思いますから。それで船上パーティーに出席される元総理大臣の福田元総理の護衛に私の班が担当する事になってその船に乗っていたんです。そしたらテロ組織と思われる集団に襲われて…私がドジをしたばかりに…少しでも敵を減らそうと相手を道連れに海に飛び込んだんです…。そこからは何も記憶がなくて気が付いたら宗茂さんに助けられてたんですね。」
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