左近と不思議 無人島生活

□水島の生活
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左近はユリを洞窟の外に連れ出し川沿いの岩に座らせ自分もその隣に座った。

左近:「まずあんたに礼を言わなきゃなんねーな。あんた人が苦手なんだろ?」

ユリ:「・・・」

左近:「なのに俺を助けてくれてありがとな。それがまず言いたかった。」

ユリ:「・・・」

ユリは人生の中で感謝の言葉を聞くのがはじめてだった。緊張しながら左近を不思議な目で見ている。

左近:「あんた名前なんて言うんだい?」

ユリ:「・・・」コテン?

左近:「・・・あんた喋れねーのかい?」

ユリ:「・・・」

ユリは気まづそうに俯く。

左近:「ちょっとこっち向いて口開けな」

左近はユリの顔をこっちに向かせ口を開けさせて喉を見る。

左近:「異常は無さそうだな・・」

ユリ:「・・ユリ」

左近:「え?」

ユリ:「・・じいちゃんが昔そう呼んでた・・」

ユリは細い声でそう言う。

左近は手紙にユリの名前があった事を思い出す。

左近:「ユリか。やっと嬢ちゃんの名前が聞けたな。俺は島左近って言うんだ。左近って呼んでくれ。」

ユリ:「・・・・さ・・こ・・ん・・?」

左近:「ああ。ユリこの島は俺とあんたしか居無いようだが・・。どうだい?俺と一緒に住まないかい?」

ユリ:「・・・」

ユリは困った顔で再び俯く。

左近:「ありゃ?やっぱ警戒してる?俺の相棒の馬があんたが居なくて寂しがってんだよ。俺も正直一人はキツイねぇ・・。ユリ、あんたはあんたで人の温もりの良さをまったく知らずに育っちまったんだろ?それを俺が埋めてやる。だから俺の所に来いユリ」

左近は真剣な表情でそう言いユリの手を握り家まで歩き出した。

ユリは不安と緊張が入り混じる気持ちを抱えながらこうして左近と二人での生活がスタートする。
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