戦国無双 夢部屋 (土佐)

□帰国
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優璃と元就は将棋を終えると船は土佐の港に近づいていた。
土佐は漁業が盛んな為、港が幾つも存在しており元親の船はよく高知城の近くの港に止めるのだが、室戸岬を過ぎ奈半利付近に近づいている。
今回、無理についてきた兼続と幸村は土佐国に訪れるのは初めての事だった。

幸村:「ここが土佐の国なのですね…。」

兼続:「山と海が近いな。」

宗茂:「二人とも土佐は初めてだったのかい?」

幸村:「ええ。一度は来て見たいと思っていたんですよ。」

優璃は横で幸村達の会話を耳に入れつつ元親に話し掛ける。

優璃:「もしかして先に私の家に向かうんですか?」

元親:「ああ。先に光秀に会って置きたくてな。それと今後依岡をお前につける。」

優璃・依岡:「「!?」」

優璃:「どういう意味でしょう?」

元親:「依岡は俺の直属の部下だ。故に依岡の管理下にお前を置く。形だけとはいえ、お前の身を預かっている以上俺にも管理する義務がある。」

依岡:「なるほどね。承知したぜ、殿。」

優璃:「………。」

優璃は少し依岡が苦手だった。依岡は顔はボコボコにされていたが、治療していくうちに元に戻ってきており、その顔は三成や元親に劣らないイケメン面なのだが、女性にだらしなくからかい癖の性格は以前優璃の居た世界の同級生、高遠という男とそっくりだったからである。
優璃は依岡を苦手としている事は顔にも態度にも全く出していない上に依岡もそれに気づいていないのだが
元親は優璃が依岡を苦手としている事を見抜いていた。

そうこうしているうちに船は奈半利の港に到着した。
馬に乗り家路に着くと、初めて見る優璃の家に瞠目している面々、優璃は出迎えの犬を宥め家の中へ入って行った。
優璃はそのまま研究室に入ると与七が机に座り調合方法を片手に唸っていた。

優璃:「ただいま、与七。調合分かった?」

与七:「あんま自信ねぇが、これでどうだ?」

優璃:「………。まあ、ここまでできればまあまあかな。完璧ではないけど。」

与七;「だろうなあ。俺もそうだと感じてたんだよ。ところでなんかあっちの方騒がしくねぇか?」

優璃:「いろいろくっついてきちゃったもんで…。」

与七:「?」

優璃:「とりあえずこれはまた後でやるとしてあっちの人達の接待手伝って欲しいんだけど。」

与七:「分かったよ。先に小助呼んで来るから先に行っとけ。」

優璃:「うん。」


優璃は研究室を出て光秀の居室へ向かった。

すると居室の扉に手を掛けようとした時、中の雰囲気が少し重くなっている事に気づいた。
中は清正と政則が光秀に土下座し、謝罪をしているところだった。その他に元親と依岡も一緒にいるようだった。
立花夫妻と元就は空気を読んで兼続と幸村をリビングへ案内してくれていたようだった。
優璃は今はやめておこうと思い、踵を返し元就達の居る、リビングへ向かった。
優璃はひとまず皆にお茶を出した後、ソファに寛いだ。そこへ与七が小助を連れて入ってきた。

優璃:「紹介します。与七と小助です。此処の管理を手伝って貰っている者です。」

与七:「どうも、ようこそいらっしゃいました。私が与七でございやす。」

小助:「小助です。」

兼続:「うむ。私は越後の守上杉謙信様にお仕えしている家臣。名は直江兼続と申す。」

幸村:「私は甲斐の武田信玄公にお仕えしている真田幸村と申します。」

小助:「さっ…真田幸村様!?え!?ほっ本物!?」

与七:「馬鹿!!小助!!失礼だろうが!」

幸村:「?」

優璃:「小助は幸村さんのファンなんだね。」

立花ギ:「ふぁん?」

優璃:「正確な意味だと“ひいきする”事を意味しますが、この場合だと尊敬や憧れでしょうね。小助はもともと武士を目指す為に修行の旅をしていたそうですから。強いと評判の幸村さんを憧れているんじゃないですか?」

小助は図星を突かれ顔を真っ赤にしてしまった。

兼続:「ハッハッハッハ 流石だな幸村!其方を目標とする武士は未だに減ってはおらんらしい。友として誇らしいぞ!」

幸村:「大袈裟ですよ兼続殿…。」

宗茂:「確かに幸村殿の評判は高いと聞きますからね。僕も負けてられないなあ。」

今度は幸村が照れて頬を赤くしてしまった。
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