戦国無双 夢部屋2 (越後)

□禁断の恋
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二人の合挽きが続き、上杉家では姉の仙桃院綾御前(せんとういんあやごぜん)は、頻繁に何処かへ出掛ける謙信の行動を不信に思い、上杉家に仕えている忍び、加藤段蔵(かとうだんぞう)に謙信の行動を見張らせる事にした。
綾御前は「(もしや女でもできたのではあるまいか?)」
と予感し、その直感は後に戻って来た段蔵の報告により的中してしまった。
綾御前はあまりに軽率な行動の謙信に大激怒し、戻って来た謙信を部屋に呼び説教をし始めた。

「謙信、其方は今家臣達の内乱がまだ治まっていない中、何処で何をしているのです!?」

「わ、私はただ毘沙門天にお祈りを捧げに…」

「段蔵の調べによるとそこで女と合挽きしているようですが真ですか?」

「も、申し訳ございませぬ。姉上。」

「謝るとは潔く認めるという事。では、その女は何処の誰なのですか?」

「……それは申し上げる事はできませぬ。」

「何故申せ無いのですか?謙信、この姉上を信じられぬと申すのですか?」

「そうではございませぬ。その女人は悪くはございませぬ。全てこの私が悪いのです、姉上。罰を受けるのならば何でも甘んじてお受け致します。どうかその者だけは手を出さないで下さい。」

「謙信、見当違いをしています。私はあなたが選んだ女性を悪くするつもりはありません。しかし、あなたが選んだ女性がもしも敵方の娘であれば、この乱戦のさなか互いに攻めを受ける事になるでしょう。貴方の為にも、その女性の為にも今は決して会ってはなりません。事を治めるまでの辛抱なのですよ、謙信。」

全てを見抜かれてしまった謙信にはなす術もなく、ただ姉のいう事を聞くしかありませんでした。

「(伊勢姫に会えない日々が続くのがこんなに辛いとは…)」

謙信は辛い思いを胸にしまい、内乱を治めようと全力を尽くす事に集中した。
そして、伊勢姫も謙信が来なくなった毘沙門天にまたいつか逢える事を祈りながら過ごしていた。

長かった内乱がようやく治まり家臣達との結束を固め落ち着いた頃、既に伊勢姫と会えなくなって二年の歳月が過ぎていた。それでも謙信は伊勢姫を忘れる事はなく二年振りに毘沙門天へと足を向けた。
二年も過ぎていれば流石に逢えないかもしれないとは思っていても、それでも謙信は馬を急いで走らせ向かった。
到着するといつもの拝殿に手を合わせて祈りを捧げている姿の伊勢姫の姿が会った。
謙信は胸を高鳴らせ大声で彼女の名を呼んだ。

「伊勢姫!」

伊勢姫は突然の声に肩がビクッと上がり閉じていた目を開け声の主の方へ顔を向けた。

「謙信様…。」

「伊勢姫!」

謙信は伊勢姫の元へ走り寄ると直ぐに抱きしめると伊勢姫も謙信に逢えた嬉しさに抱きしめ返した。
こうして二人は二年振りの再開を果たしたのだった。
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