トビ空
□―サイダー―
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水滴がたくさん着いたサイダー缶
心地よい風とセミが鳴き、季節は夏真っ盛り
「〜冷たーい!!」
ベンチに座ってサイダー缶を顔に押し付け、顔をクシャクシャにして笑っている空
頬がスゥーっと冷えていく
ベンチに思いっきり寄り掛かって、ひっくり返り後ろを見てまた笑う
「トビ君」
へらっと嬉しそうに呼ぶ名前に、返ってくるのはアーホの一言
「もうすぐそう言う」
状態を戻し、少しだけ不服そうな顔をしている空を見るトビの表情は柔らかい
「事実じゃ」
しかし、そういう彼が本当にそう思ってトゲがある言い方をしているのか、と聞かれれば、そうじゃないのを空は知ってる
「まぁいいや、トビ君早くこっちおいでよ」
それは照れ隠しなのかなって最近思う
「あんまゆっくりしてる暇ないじゃろ」
ゆっくりベンチに腰かけながら、左手に着けてる黒い時計を見るトビ
「映画何時からだっけ?」
「1時カラのかいじゃの」
財布からチケットを取り出し空に見せ、その一枚を渡す
「ありがとう」