おぞフラ!

□第4話・優等生は元女王!?霊感少女・卑弥呼!
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その日の昼休みの事。
「ぐふふふ…ワタクシ、すっごい噂を聞いてしまいましたわぁ〜!」
「なによその気持ち悪い笑い方!」
おぞうは紫式部と教室で談話していた。
「あのね…お隣のクラスの霊能力少女さん、見事にテストの山を当てられるんですって!」
「…知ってるわよ、卑弥呼の事でしょ?」
「えぇっ!?なぜご存じなんですの!?」
思わず『驚きのポーズ』をとるおぞう。
「なんでって…卑弥呼と私は中学の時の同級生!あの頃は…卑弥呼も邪馬台国の女王として学校に行ってたわ…。」
「邪馬台国ですってぇ!?」
朝、遺跡が見つかったと噂される、あの邪馬台国である。
まさか、自分の学校の隣のクラスの生徒が亡国の女王だっただなんて知れば、誰もが驚くであろう。
「でも…でも邪馬台国はもう…」
「そう、邪馬台国は滅びたの。…数年前にね」
そして紫式部は、あの頃の…中学時代の記憶を呼び戻す。
あの日、卑弥呼が涙ながらに語ってくれた、邪馬台国が滅びていく様子を…。
そして、かつて邪馬台国のあったとされる土地はまるで数千年の時が経ったかのように老廃が進み…そして現在に至るという。
「…でも、邪馬台国の事なんてどうでもいいですわ!ワタクシはその卑弥呼さんに今度の中間テストの問題を占ってもらわなくては!」
そしておぞうは、ドドド…と音をたてながら廊下を駆けていった。
「こらーっ!廊下を走るんじゃないよ!」
職員室の扉の前で、走るおぞうを見た生活指導の先生・肉団子先生が怒鳴っている。
「…全く、あんたは人の気持ちってもんを考えた事ないの?おぞう…。

私なら…故郷をなくしたりしたら…もう…」

紫式部は廊下でただ一人、そうつぶやいていた。


そして、ここは1年7組の教室。
「卑弥呼さんっ!卑弥呼さんはいらっしゃるかしら?」
突然扉を開けた象豚の姿を見た生徒達は驚きの表情でおぞうを見ていた。
「ひ…卑弥呼さんなら早退したわよ…、なんか理由は先生にだけ言うから秘密にしとけって言ってたし…」
生徒の一人がそう言うと、おぞうは、
「あ、そうですか。
失礼致しましたわ。」
と、扉を閉めていった。
「全く、人が困っているというのに、なんて無責任な方なのかしら!
もういいですわ!来週のテストは赤点取りますから!」
おぞうは一人で勝手に怒りながら、自分の教室へと帰っていった。


その頃。

ここは、数年前までは邪馬台国という栄えた国があった場所である。
だが、数千年が経ったかのように老廃化が進み、今では遺跡となっている。その土地に、かつての女王・卑弥呼はいた。
「邪馬台国…か。
みんなは元気かしら…。
そして、イヨは立派に私の後を継いでいるかしら…。」
滅びた邪馬台国から逃れた民や王族に仕える者達、そして卑弥呼のいとこであるイヨは、どこか遠くの土地へと逃げ延び、新たな王国を築き上げた…と、彼女の占いには出た。
「ゆっくり眠るといいわ…私の…邪馬台国…」
卑弥呼は涙を流しながら、邪馬台国の土を握りしめた。
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