おぞフラ!

□第2話・テノールリサイタル!校長先生、絶好調!?
1ページ/3ページ

ここはでんでこ学園の近くにある病院。
ここの病院に、体育教師のフラッシュは入院している。原因は、一人の生徒の抱擁による骨折である。全治三ヶ月と診断され、その間は担任代理がおぞう達のクラスを受け持つ。
「フラッつぁん、おかゆができたわよ」
でんでこ学園の美人教師・オーロラが、できたてのおかゆを持ってお見舞いに来ていた。
「いつもすまないねぇ…って何をやらせるんですか!」
「くすす、フラッシュくん元気そうじゃない!」
「ま、まぁ…」
いろいろ冗談を言いつつ、フラッシュの身体は回復へと向かっているのであった。


一方、でんでこ学園では――

「はぁ〜、フラッシュせんせぇ〜…」
木口象子、通称『おぞう』は、あれから毎日のように担任であるフラッシュの事を考えている。おかげで今日も上の空だ。

「あんたねぇ…フラッシュフラッシュ言ってるけど、フラッシュ先生があんな事になったのはどいつのせいだと思ってんのよ!」
この強気な長い髪の少女は、紫式部。
その後ろには、彼女のライバルである清少納言と、その弟子・枕草子(まくらくさこ)がいる。
「あぁ…フラッシュ先生…一体なぜ、こんな事に…」
「お前のせいだろが!つか人の話聞けよ!」
紫式部は、おぞうに思い切りチョップを食らわした。
「ごふっ!」
おぞうが倒れた矢先、ガラガラと扉が開き、担任代理の教師が入ってきた。
「えー、今日からフラッシュ先生の代わりに、ここのクラスの担任代理になった、体育教師のニイです。
『丸出し』と呼ばれてますんで、みんなもそう呼んでほしいな、と思います」
丸出しは、まるでフラッシュの対であるような真っ黒なジャージ姿をしていた。顔は整っていて、生徒から人気があるようだ。
「キャー、あれって…」
「ラッキー!丸出し様が担任代理だって!」
後ろの席できゃあきゃあと盛り上がっているのは、恐らく丸出しのファンなのだろう。

「みんなはもう知ってるかもしれないけど、今日は校長先生がみんなのために、テノールリサイタルを開いてくれるから、急いで体育館へ行くようにね」
「はあーい!」
生徒達は、丸出しに礼をした後に、ぞろぞろと体育館へと向かった。
「…リサイタルだって」
「何歌うんだろ」
「少なくともポップスじゃないわよね」
「テノールリサイタルって言うくらいだから…オペラ?」
紫式部と清少納言は、得体の知れないリサイタルの内容を予想しながら移動していった。
「ま・っ・て〜♪」
それから遅れて枕草子が走ってくる。さらにその後ろではおぞうがずんずんと音をたてながら廊下を歩いていた。

――誰もいなくなった教室。丸出しは、
「…冗談じゃねぇよ」
と、ぼそりとつぶやいた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ