おぞフラ!

□第3話・部活動!おぞうの初恋
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四月に入学した一年生も、部活を決める時期になった。

「お・ぞ・う!
あんた、部活何に入るの?」
紫式部は、おぞうの仮入部届を覗き見た。

『演劇部入部希望』

おぞうの紙には、そう書いてあった。
「はぁ!?なんで私と同じなのよぉ!」
紫式部も、演劇部に入るつもりらしい。
「紫さんには関係ありませんわ!
ワタクシ…この学校に入学した本当の理由は、ここの演劇部に入部する事でしたの!」
「…はぁ?」
紫式部は、また首をかしげた。

それは、一週間前。
部活紹介があった時、おぞうは演劇部の紹介の時に、あの入学式の時のように目を光らせながら、舞台にくぎづけになっていたのだ。
考えられる理由は、それくらいのものだろうか。

その後、おぞうと紫式部だけでなく、清少納言と枕草子も演劇部に入部する事になった。

そして…。

「君たちが、今日からこの演劇部に入部する子たちだね?はじめまして。
私がこの演劇部の部長です。」
「はっ…はじめましてっ!」
「式部…なに緊張してんのよ…。」
紫式部の隣で、清少納言が紫式部の肩をぽん、と叩く。

部長に案内され、おぞう達新入部員は、部員達の待つ部室へと案内された。

「あっ、あれが新入部員?」
「なんか微妙な奴いるね…。」
部員達は、初めて見るおぞう達を見て、騒ぎ始める。
微妙な奴とは、きっとおぞうの事だろう。

「………………!」
その時だった。
おぞうが、ある一人の部員を見た途端、おぞうの大きな体が固まった。
「ど…どうしたのよおぞう!」
「センパイさん…」
「…へ?」
紫式部が首をかしげるのは、これで一体何回目であろうか。
「センパイさぁぁん!」

おぞうは、ドスドスと音をたてながら、センパイさんと呼んだ一人の部員に飛び付いた。
「く…くる…し…」
センパイさんは、おぞうに押し潰されそうだ。
「ちょっ…やめなさいよ!」
「はなれなさい!」
「まくら〜!」
紫式部達三人がおぞうをセンパイさんから引き離した。
「な…何するんですの!?
やっと…ワタクシの初恋の人に会えたというのに…。」
「は…初恋!?」
唖然とする部員達と紫式部達。

「そう、あれはワタクシがまだ中学生だった頃のお話ですわ…。」
「誰もあんたの昔話なんか聞きたくねぇよ!」
紫式部が突っ込んでいるにもかかわらず、おぞうは自分語りを始めた。

「遊園地で素敵な男の人にナンパされるのを待っていたワタクシは、その遊園地で演劇コンクールがあるという事を知ったのですわ。
その時の舞台・『トイザらスへいらっしゃい』にご出演されていた紳士的で素敵なお方…その日以来、ワタクシはセンパイさんに恋をしてしまったのですわ…」
きゃあきゃあと、顔を赤らめながらおぞうは、自分の初恋を語る。その姿は、見ていて非常に痛々しい。

「た…確かに私はあの日の舞台で、イギリス紳士を演じたけれど…。」
センパイさんは、こんな奴に好かれるのなら、あの時裏方をやればよかったと後悔しているようだった。
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