book2

□騒がしいくらいが丁度いい
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「マサキ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど」

「何?瞳子さん」

「おつかい、行ってきてくれない?」


瞳子さんは大好きだけど、たまに人使いが荒い





「(うぇー、なんでこんな日に限って重いものばっかなんだよ)」


スーパーから頼まれたものを買った、までは良かった

あいにく頼りにしていた自転車がバカオスな2人にパンクさせられていて使えなかった

帰ったら風介兄と晴矢兄シバく.絶対


「(ヒロト兄連れてこれば良かった…)」


ずっしりと重みのある袋を持って、お日さま園まで重い足を動かす


「(腕もげるぅぅ…!)」


自分の非力さを実感した瞬間

持っていた袋が消えた

いや、正確にはとられた


「大丈夫か?凄い重そうだけど」

「霧野先輩」


アンタこそそんな細腕で大丈夫か、という言葉を呑み込む


「大丈夫です、自分で持てますから」

「家まで送るよ
こんな重いの持って帰れないだろ?
それに女の子1人が夜道を歩くなんて危ないし」


心配性だなあ…

ヒロト兄たちといい勝負だ


「…じゃあお言葉に甘えて」


小さく返事をすると、先輩は綺麗な笑顔で返してくれた


「狩屋の家族ってどんな人たちなんだ?」


唐突に聞かれて言葉に詰まった

そういえば先輩に.俺が施設育ちって言ったとき

ヒロト兄たちのこと"家族"って言ったっけ


「普通ですよ」


黙ってれば、ね


「そっか」


先輩はただ笑って返事を返した

それからちょっとした沈黙

気まずいなあ…


「あの先輩…「マサキイイイイイイ!!」え.ヒロト兄?!」


凄いスピードでこちらに向かって走ってくる赤髪…間違いないヒロト兄だ


「(ん?)」


よく見るとその後ろに風介兄.晴矢兄.リュウジ兄まで居る


「姉さんから聞いたよ!1人でおつかいなんて危ないじゃないか!」

「そうだ、行ってくれれば車で送り迎えしたのに
ヒロトが」

「む、マサキの隣に居るのは誰だ」

「いっぺんに話すな!!」


口々に話し出すヒロト兄.晴矢兄.風介兄

ツッコミ不足って多分このことを言うんだろうな


「この人は学校の先輩の霧野蘭丸先輩
1人だと危ないからって送ってくれてたの」

「はじめまして、霧野蘭丸です」


―ガシッ


「!?」


突然リュウジ兄が先輩の肩を掴んで揺さぶり始めた


「何か君.俺と同じ境遇を感じる!(男の娘的な意味で)」

「え?この子男なの?」

「マジでか」

「リュウジにも負けない女顔だな」


頭にはてなを浮かべる先輩の周りを、ヒロト兄たちが囲みまじまじと顔を見ている


「ちょっと!先輩困ってるじゃん!」


その後しばらくヒロト兄たちが先輩に

どんな関係だの、うちの子は渡さんだの、女顔ってホント不便だよねだの散々言っていた

あ.最後のはもちろんリュウジ兄ね

それでも先輩は別れ際に


「いい人たちだな」


って言ってくれた


「(先輩には負けますよ)」


今度.先輩をお日さま園に連れてこようかな





……ヒロト兄たちが先輩のことを認めてくれた頃に







ほのぼの書くはずがギャグちっくになってしまいました…!
何でだ!

書き直し受け付けますんで遠慮なく言ってくださいね

エトワール様のみお持ち帰り可(・ω・)

ありがとうございました!








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