book2

□夏色の恋
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※高校生設定


暑いのが苦手だから夏は嫌いだ

あと日焼けするし、お気に入りのコートが着れなくなる

夏なんか大嫌いだ

暑い夏の放課後は毎年涼しい図書室でダレて過ごす

そんな大嫌いな夏に1つだけ好きなところがある


「…こんな暑い中よくやるなー」


図書室の窓際に椅子を移動させ、跨って座る

ここからだとサッカー部の練習風景がよく見える

夏になるとサッカー部は大会に備えて猛練習を始める

ヒロト兄たちの影響か、サッカーが好きな俺は

この練習風景を見るのが好きだ

特に、


「あの3番上手いなあ…」


背番号3番の人をつい目で追ってしまう

細身で華奢な身体で自在にボールを扱う姿に目を奪われる

サッカー部のファンたちみたいに近くで眺めてキャーキャー騒ぐミーハーみたいなことはしたくない

遠くから見てる方が断然いい

外暑いし

そうして俺は窓からくる日差しに目を細めた





「あれ?」


いつものように、図書室からサッカー部を見ていると

3番の人が見当たらない

今日は休みなのかな?

少しがっかりした


「よっ、と」


―ドンッ


「!!?」


後ろから聞き慣れない声と机の上に大量の本が置かれる音に

肩をびくつかせた


「図書委員とかマジダルいわ…

…あ、君!」


振り返ると、いつも見ている人がそこに居て

その人は俺を知っているかのような口振りで話しかけてきた


「君、いつもここから俺たちの練習見てる子だよね?」

「あ、はい」


何で知ってんだろ…

まさか気付かれてた?


「やっぱり!
1回君と話してみたかったんだ」

「え?」

「君もサッカー好きなのかな、って」


いつも遠くからでしか見たことなかったあの人は

近くで見ると.とても綺麗な顔をしていた


「はい、知り合いがサッカー好きでそれで…」

「そっか

あっ、じゃあさ.うちのマネージャーになってみない?」

「は?」

「サッカー好きなら丁度いいと思うけど」


いい返事待ってるから、とその人は重そうな大量の本を軽々と持ち上げ出て行った


「…勧誘?」


マネージャーか、

考えたこと無かったけど楽しそうだな

暑かったら部室で涼めばいいや

てか、あの人俺のこと知っててくれた…!

夏は大嫌いだけど、少し夏に感謝した











「霧野、なんかご機嫌だな」

「ちょっと、な
図書委員になってよかったわマジで」

「はあ?」


図書室からこっちをみる彼女にとても興味があった


真夏に始まった、俺の初恋


夏色の恋




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