book2

□事故で終わらせない
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瞳子さんに早く帰って来いって言われてたことを思い出したのはもうとっくに下校時間が過ぎた午後6時過ぎのこと

部活に夢中で忘れてたとか瞳子さんに言ったら殺される…!

背中に悪寒を感じながらオレンジに染まる廊下を猛ダッシュで走った

今日は何て厄日だ

こんな時間に誰も居ないだろうと曲がり角をスピードを落とさずに曲がった時、


―――ガツッ


鈍い音と同時に口内と腰に激痛が走った


「いってえ…!」


何かにぶつかって尻餅をついてしまったらしい

腰を擦りながら前を向くと

そこにいたのは大嫌いな先輩が居た


「霧野先輩!」

「狩屋…お前曲がるときはスピード落とせよ…!」

「す、すいません...」


涙目で口を押さえながら霧野先輩を見ていると俺も思い出したかのように口内が痛み出した


「いって…え…?」


唇に触れると指先に赤い液体がついた

これって血だよな?

霧野先輩の口元に目をやると先輩の唇も少し切れて血が滲んでいた

そういえばぶつかったときも「ガツッ」って不自然な音がしたような…

全身から血の気が失せていく感覚を覚えた

もしかして俺、霧野先輩とキ、キスして…!


「っすいませんでした!」


泣きたい衝動に駆られて先輩の横を抜けようとすると

手首を捕まれて、引っ張られた


「待てよ」

「な、なんですか!」

「血、まだ出てる」


そう言って俺の頬に手を添えると唇を舐められた


「な…!?」

「お前事故で終わらせようとしてないだろうな?」


若干黒い笑みを浮かべる先輩を見ながらも、俺の心臓はばくばくと煩く響く


「俺狩屋のこと好きだから」


追い討ちをかけるように先輩の口から出た言葉に心臓が一瞬止まった


「そそそそそうですか!じゃあ俺はこれで!」


今日は本当に厄日だ

瞳子姉さんには絶対怒られるし

大嫌いな先輩と事故とはいえキスしてしまうし

なにより、

その大嫌いな先輩を好きになってしまった


「ああもう!最悪だあ!」


頭を抱えて走る後輩を見ながら蘭丸はくすりと笑った


事故で終わらせない


付き合ってない前提蘭マサでハプニングキスでした!

すごいベタな展開で申し訳ないです

そしてリク消化遅すぎるェ...

土下座してお詫びします

もちろん翌日から霧野先輩の猛アタックが始まります

貞操の危機だよ、マサキくん

ありがとうございました!






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