常連の店で繁々、イケメンと出会う
□第一章
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始まりは“彼“だった。
いつも通り、常連の店で一人寂しくうどんを啜っていると、客が来た。
「いらっしゃいませ〜!」
大将の威勢の良い声を聞きつつ、またうどんを啜る。
目の前から椅子を引く音が聞こえ、目線をうどんから前に向けると、顔の整っている男の子が。
動揺した。店には昼時を過ぎているので、客は私一人しかおらず、席は沢山空いてのに。
まるで、そこに座るのを前もって決めていたぐらいスムーズに椅子に座った。
頭の理解が追いつかないので、うどんを啜る。もう一回。
その間に男の子は大将に注文をしていた。…大将、突っ込んでよ。
考えていても仕方がないと判断し、別に嫌というわけではないので、そのままうどんを食べる。
ズズズとのど越しの良いうどんを啜り続ける。目の前から視線を頭に感じるものの、啜る。
「大将、お勘定」
「はいよ」
いつも通りのお金を大将に渡し、店から出る。
しかし、あんな顔の整っている知り合いなんていただろうか。私が覚えていないだけか?
いくら考えていても、出てこないものは出てこないので、諦めることにした。
まぁ、もう会わないだろう。
と思っていた時期が私にもありました。
あれから一週間。毎日私が店に行き、うどんを啜っていると必ず目の前に座る男の子。
流石に可笑しい。なぜ毎回、私の目の前に座るのだろうか。
これは腹を括ろう。男の子に直接聞いてみることにした。
「ねぇ、ここ一週間毎回そこに座っているけど、何か理由あるの?」
「特にないです!」
「…そっか」
男の子はうどんを啜る手を止め、返事をしてくれたが、返事をした後はすぐにうどんに戻った。
こちら側からすれば、元気に返事をされ特にないとまで言われると、少し困る。
それはもう、気の抜けた返事しかできない。
なんだかんだ言って、嫌と言うわけではないので、まぁいっかと。簡単に考えることにしよう。
ただ年齢も、何もかもを知らない男の子とお昼を食べているだけ。…顔は知ってるけど。
さて、お勘定っと。丼の中に汁だけしか残っていないのを確認して、大将を呼ぶ。
「大将、お勘定」
「はいよ」