□恋人ごっこはもう終わり
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好きなら、嫉妬くらいしてくれるよね?

好きなら、余所見しないで見てくれるよね?


…ねえ、ギロロ先輩。


今、誰を見てるの?

俺じゃないよね?
その目に、俺は居ないよね?

あんたの目に居るのは、あの女でしょう?


……ねえ、先輩。

本当に俺のこと、好きなの?


その仕方無いから一緒に居る、みたいな顔しないでよ。

仕方無いから手をつなぐ、とかさ。

好きって言っても、返してくれない。

俺が背中に寄りかかったときに、嫌そうな顔してるって、あんた気付いてる?

最近、キスだってしてくれないよな。


最近見る先輩の顔って、全然笑ってくれてないよ。

あんたの口からは、俺の名前なんか殆ど出なくなりましたよね。

いつだって、あの女の名前ばかり。


……先輩。
俺の事、本当に……。




「大丈夫か…?」

「…く」


目を開けたら、先輩の顔。

…なんで此処に居るんだろうか。

誰も居ない日向家ソファーで寝ていたハズ…なのに、居るのは見慣れた先輩のテントで。


「……」

「随分魘されていたが…大丈夫か?」

「…はあ…」


嫌な夢。だけども、事実。

魘されもするだろと、苦笑した。


「先輩、なんで俺此処にいるんスかね?」

「夏美が邪魔だから引き取れと」

「…邪魔…ね」


…あーあ。

なんか泣きそう。


「……邪魔してすいませんねェ。今出て行きますんで」


先輩は無言。

引き止めもしない。

……どうせだったら、ひと思いにフってくれりゃ良いのによォ。


「……先輩」

「?」

「…別れようよ。先輩」


本当に本当に、大好きだけど。

あんたが俺を見てないなら、ツラいだけなんだ。


とうとう溢れ出した涙を拭う。

沈黙が、ひどく長く感じた。


「…そうか」


先輩のその言葉に、ああもう終わったんだなって思った。

ぼろぼろと止まらない涙。


「…お前は、俺と居るのは嫌だったか?」

「………嫌、だったかもなァ」

「…そうか」

「……くく…先輩本当はさ…夏美が好きなんでしょ…?」

「……!」


うわ、スゲエ分かり易い動揺ぶりだな。

…ああもう、涙止まんないし。最悪。


「先輩、今まで有難う。……バイバイ」





恋人ごっこはもう終わり







大好きでした。

ずっとずっと




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