□実験結果は幸せでした
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先輩は、俺の為に嫉妬とかしてくれんのかね?

好きだとか愛してるだとか言うなら、してくれるよな?

そもそも浮気したらどうなんの?
浮気は許せる人?許せない人?

どんどん膨らむ疑問。

となれば、早速行動を開始する。


サブローが捕まらなかったから、取り敢えず隊長辺りにしてみようか。


「隊長ォ」

「ゲロ?何でありますか?」

「抱いて」

「……抱いて?」

「そう」


ガンプラ作る手を止めて、不思議そうに首を傾げる隊長。

…あ、もしかして分かって無いのかこの人。

まあそれはそれで良いけど。


「…えーっと……こう?」


ゆっくりと戸惑いながら、俺を抱き締めた隊長。

…なんか、先輩と違うから違和感あるな。落ち着かないと言うか。


「これでいいでありますか?」

「んー、じゃーあ、俺を押し倒すようにしてみてくれますぅ?」

「押し倒す……って……えいっ」

「にょっ!?」


ドンッと背中に衝撃が走る。

…隊長…今のは押し倒すじゃなくて突き倒すだろ。


「ゲロッ!だっ大丈夫でありますか!?」

「…隊長…アンタなァ…」

「ケロォ…てゆーかクルルは何がしたいでありますか…?」

「ま、実験?」

「実験?…え、ちょっと、なに、我輩酷い目に遭うのは嫌なんでありますが…実験なら赤ダルマにしてよ」

「クククッ…だから、その赤ダルマに関する実験中」

「…?」

「いいから隊長。ちょっと俺の上に馬乗りになって、両手此処に着いて」

「ええ?」


訳分からんと言った顔で言われるままに行動する隊長。

視界が緑色になる。

…ダメだな、なんかちっともドキドキしないし。

先輩だったら、近くにいるだけでドキドキすんのになァ…。


「…で?コレで何が分かるでありますか?」

「……うーん…そうッスねェ……あ、隊長。どこでもいいからちょっとキスして」

「…ケロォッ!?いやっ、ちょっと、いやいやいや!?それはまずいであります!我輩赤ダルマに殺されちゃう!!」

「分かんねえっしょ?ほらほら」

「や、ちょっとクルル…!」


隊長の顔を掴んで、取り敢えず頬にするように引き寄せる。

すると調度良く扉が開いて、声がした。


「ケロロ、もう直ぐ地球侵略会議…………」

「ぎっギロロ!?」


隊長の焦った声色。

首を動かせば、赤い人。


「……なに…してるんだ…?」

「違っ!違うのっ!わっ我輩悪くないであります!」

「……気をつけェ!!!!!」

「ハイイイッ!」


隊長は素早く退けて、ピシッと立つ。

冷や汗だらだらで顔色が悪い隊長。

ゆっくり先輩を見たら―――思わず、体が強張った。


「…どういうことか、説明をしてもらおうか」


低い声。

先輩が本気で怒っているときにしか聞けない声色。

目を見れば、本気で怒った冷たい目をしていた。


「わ、我輩…悪くないであります…っ」

「…ほぉ?」

「ほっ本当だもんっ!嘘じゃないでありますっ!」


先輩はギロッと隊長を睨んだ後、俺に視線を向けた。


「…いつまで寝転がっているつもりだクルル」

「っ」


視線で人を殺せるんじゃないかってくらいの鋭い眼孔。

パッと立ち上がったら、先輩が突然腕を強く掴んで引き寄せた。

そうして、無理矢理キスをされる。


「…!?…っ、く…んんっ、う」


無理矢理舌が侵入し、口内を滅茶苦茶に舐め回した。

嫌な音と、俺の声が響く。


「んっ、ふ、ぁ……あっ!?」


先輩の手が、体を触り始める。

この動き方は情事をするときの動きだ。

…冗談じゃない!


「せ、んぱ、ぁっク、んゥッ!」


太ももを撫でられ、中心を触られた。

深くキスをされながら、中心を触られて背中がゾクゾクする。


…嫌だ、やめて、お願いだから…っ!


「ちょっ…ちょっとギロロ!?ストップストップ!」


我に返った隊長が、制止の声を上げた。

先輩は一瞬手を止めてから俺を抱き上げて、俺の胸にキスをしてきつく吸い上げる。

その刺激にもビクッと反応し、ギュッと先輩の頭にしがみついて軍帽を握った。


「あのっそう言うのは自室で二人の時にやってくんない!?」

「……ならさっきのは何か説明しろ」

「実験!実験なんであります!」

「…実験?」

「よく分かんないけどクルルが実験だって!」

「…どういうことか、説明しろ、クルル」


下から睨み付ける先輩。

渋っていたら、体をヌルッと舐められた。


「んっ!…わっ、分かっ、言うっつの!」

「……」

「ッ!く…ぅっ」


言うって言ってんのに何で舐め続けんだこのオッサン!

…ああもうっ!


「……先輩、ッ、…嫉妬してくれるかなっ、て、…っあ!」

「…そんなくだらん事で…ケロロに手を出したのか!?」

「っ!」


怒声が響く。

恐る恐る先輩を見れば、泣き出したいのを必死に我慢している顔をしていた。


「…せ、せんぱい…?」

「嫉妬するなんて当たり前だ馬鹿者!…俺は本当に…っ」


ギュッと強く抱き締めながら、先輩は声を押し殺して泣いた。

そんな先輩に驚いて、思わず固まってしまう。


「…先輩…じゃあ、浮気は許せない?」

「当たり前だっ!」

「先輩…泣くの?」

「泣くっ!」

「……そう…なんスか…」


…ああ、俺…先輩に酷い事…したんだな。

そっか…当たり前…なんだ…。

……先輩。


「…先輩…試したりして…ごめんなさい…」

「!」

「ごめんね、先輩…っ」


ギュッと抱きついたあと、先輩の頭にキスをした。

いつの間にか俺まで泣いていたらしい。
先輩の軍帽が僅かに濡れていた。


「…クルル…」


すとんと降ろされて、先輩の顔を見る。

…ああほら、やっぱりドキドキしてきた。

視線が絡んで、それからキスをする。


「…クルル…っ」

「ん、あ、せん、ぱ…」

「好きだ」

「うん…っ」

「…好きだ…っ」

「…んっ、ふ…お、れも、はぅ、んんっ…好、き…っ」


唇を離して、先輩は嬉しそうな顔をして抱き締めてくれる。


耳に聞こえた「愛してる」に、嬉しくてギュッと腕に力を込めた。





実験結果は幸せでした





「……って…あのさァ…そろそろ…我輩居るの思い出してほしいんだけど」

「クルル…」

「せんぱい…」

「ああもうどっか行けバカップル!!!!!!」







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