□バカップル
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赤ダルマはなにが良くて黄色博士が好きなのか。

カレー野郎だし、性格あんなんだし、てゆーか夏美殿の方がよっぽど良かった気がする。

あの二人は特にのろけたりとかしないから、恋人になってどう変わったのかも分からない。


そんな、ある日のことだった。


「あっれ?」


なーんか見覚えあるような無いような赤い携帯が、我輩の部屋に落ちていた。

さっきまで赤ダルマが居た場所だから、多分ギロロのだろうけど。


「んもーギロロったら、連絡手段忘れるなっつー……の…」


…連絡、手段?

あれ?でもこれ、我輩とやり取りするときのじゃないよね?

ん?この携帯、何用?


「………あ」


よく見たら、クルルの渦巻きが描かれてる。


「…ギロロくんが落としちゃったのかなー、でも一応確かめようかなー、だから開けなきゃだよねー、しょうがないでありますなあー」


…よし、開こう。

待受とかメールとか、ちょっとチェックさせてもらっちゃお。

落としたギロロが悪いんだもんね?


「さあてご開帳〜…」


パッと映る待受画面。

…絶句した。

映し出されたのはやはりというかなんというかクルル。

しかも『先輩大好き』と描かれた女装写真。


「……ベタだけど…きっついわぁ…」


親友に泣きたくなったのは初めてな気がする。

こうなるとメールも酷そうな予感。


「……うわあやっぱり」


送信先、送信者は全てクルル。

毎日ってペースじゃあないみたいだけど、にしても我輩とはメールしないくせにクルルとはメールすんのかよこの赤ダルマ。

送信されたメールは「ああ」とか「そうだな」と短い単語だけだったり、仕事内容のやり取りとかもある。

でもそれは二割。

ギロロのメールはこっぱずかしいセリフで溢れかえっていた。

中には何故だか愛のポエムすらある。

クルル…こんなん貰って嬉しいのかな…。


「…情熱的っちゃ情熱的だけど……でもやっぱギロロらしい内容…」


対するクルルのメールは、『馬鹿馬鹿しい』とか、『あっそう』とか素っ気ないものばかり。


って思ったら、すんごいスクロールした先に、『有難う』って文字。


…ああ、なんかもう本当にラブラブなんでありますな…。

てゆーか嬉しいのクルル…。

なんだか幸せオーラにあてられて具合悪いよ我輩…。


「…メールはもういいや…」


次は画像を見ようかな…なんて…。


「……はは」


まーここまで来たら予想出来てたっちゃ出来てたでありますが。


…画像フォルダー一覧見る限り全部黄色い気がするのは気のせいじゃないでありますよね…多分これ、全部クルルなんだよね…何これ、盗撮?


「クック〜盗撮だなァ、こりゃ」


ああーやっぱり盗撮なん……


「だぅわあっクルル!?」

「よォ隊長。随分面白そうなもん見てんじゃねェの」


クークックックッと嫌な笑い方をするクルル。

…ヤバイ。どうしよう我輩。


「…えーとクルル…」

「クク…へーえ、なかなかの盗撮技術じゃねーの」


我輩から奪った携帯を操作するクルル。

パタンと携帯を閉じたクルルは、ニヤリと笑った。


「で、隊長。感想は?」

「かっ、感想?」

「隊長の事だし、隅々まで見ちゃったんだろォ?」

「ギクッ」


バレテラー!

…まあ、うん、今更誤魔化しても意味なさそうでありますし…うん…。


「……ら、ラブラブッスね」

「くくくーっ」


クルルはもう一度携帯を開いて待受画面を見せる。

恥じることもなく、クルルは言った。


「あったりまえっしょ?相思相愛だぜェ。クークックックッ!」



…ああ、うん。

我輩こういうのなんて言うか知ってる。




バカップルって奴だよね








ああまあ、幸せそうなら良いんじゃない?






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