□一日だって離れたくない
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何となく気になった。

先輩が、いや、俺が何日間先輩に会わずに居られるのか。

モニター監視も無し、会議も…いや、会議は出ないとうるさいから、それは出てやろう。
ただし顔は合わせない。
無論、会議に必要性の無い会話もナシだ。

と、まあそんな思惑で始まった引きこもり生活初日。

ラボの入口には立ち入り禁止の貼り紙。


もともと引きこもりな俺だ。

3日くらいは引きこもりをしても、怪しまれることなく普段通りだと思われるだろう。

ちょうど発明品の修理もあるし、これを機に少しバージョンアップでもしてやろうか。


そんなこんなで機械いじりに没頭する事にしていたら、アッと言う間に一日が終わった。


…やっぱり先輩、来なかったな。


二日目。

昨日とは別の機械を手に取って改良に没頭する。

引っ張り出して来た発明品の多くは、どれも改良したら面白くなりそうな物ばかり。

設計図を見直して、新たに書き込んでは造り上げていく。

ふと確認した時計は、既に20時を過ぎていた。

順調に過ぎていく時間に思わず笑みが漏れる。

そんな時だった。


「クルル!!」

「!」


ラボの外から聞こえた、愛しい声。

貼り紙が見えねえのか、とか、何しに来たんだ、とか思いながらも、聞こえた声に嬉しくなる感情は間違いない。

モニターを、ボンクラ隊長の部屋や日向家に繋ぐ。

貼り紙を無視してまで先輩が呼ぶと言うことは、何か事件性があるのかもしれない。

しかしどこを見渡しても、いつものように隊長はガンプラに勤しんで居るし、傍らには楽しそうにするアンゴル娘とそれに嫉妬するガキが居て、日向姉弟も相変わらず。

何も変わった様子はない。

原因不明のまましばらく聞き耳を立てていたら、そのうち物騒な言葉が聞こえた。


「応答せんのなら扉を破壊する!」


オイオイオイ待てやオッサン。

何でだよ。そんなに大事なのか。


なんて思っていたら、ドカンと派手にラボの入口が破壊された。


本当に壊しやがった、なんて思わず顔が引きつるも、先輩に振り返る事無く機械に手を伸ばす。

中に入ってきた先輩が、俺の背後に立つ気配がした。


「……クルル」


…なんだよその声。
思わず振り返りたくなっちまうじゃねえの。


「…クルル…」


いいから用件を言えよ。
なに、もしかして甘えてえの?


あ、くそ、口元緩んできやがった。


「…クルルっ」

「くっ!?」


突然、勢い良く後ろから抱き締められる体。

いじっていた機械が転がり落ちて、ていうかなんかもう、心臓ばくばくで、ああくそ、なんなんだよもう。


「せ、先輩…っ?」

「…クルル…」

「…く、ククッ、貼り紙あったの見えましたァ?俺、今忙しいんスよ」

「知るか。どうせくだらない発明なんだろうが」

「……くだらないってあんたな」


流石にムカつくんスけど。

新たに改良した発明品で一回嫌な目に遭わせてやろうか。


「…先輩…」

「…俺はお前に一日会えないだけで落ち着かなかった」

「!?」

「お前は、何とも無いのか?」


ああ待て、ばか。

顔が熱い。ちょっと待て、落ち着け心臓。


「…クルル、会いたかった」

「……っ」


なんなのこの人、俺の心臓まで握ってんの?

スゲエ苦しいんだけど。うるさい。

ああ、もう、熱いよばか。


「……引きこもるなとは言わない。だが、一回くらいは顔を見せろ。少しでいいから」

「…ククッ…了解」

「…クルル」


反転する体。
真正面に先輩の顔。

一日見なかっただけなのに、久し振りな気がする。


「……クルル」

「ん…」


重なる口付けも、なんだか久し振りな気がした。


















俺も、本当は先輩に会えなくて寂しかったなんて

絶対内緒だ




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